人足寄場
宇江佐真理さんの[髪結い伊三次捕物余話]シリーズは、中村橋之助さんの主役で、フジテレビ系でドラマ化された。
1999年ごろのことである。鬼平シリーズの時間帯だったように記憶する。プロデューサーも、鬼平の能村さんだった。
いまは、当サイトと相互リンクしあっているスカパーの時代劇アワーで見られる。
さて、宇江佐さんの伊三次シリーズは文春文庫ですでに5冊出ていて、売れ行きもなかなかのものらしい。
その第3冊目『さらば深川』(2003.4.10)に収録されている[ただ遠い空]に、人足寄場が出てくる。
岡場所の私娼屋を経営していた中年男の身辺がやばくくなったのを憂慮した北町奉行所・隠密廻り同心が、人足寄場へ送り込んで危険を予防したのである。
人足寄場の説明を引用する。
人足寄場は火付盗賊改役、長谷川平蔵が時の老中松平定信に献策策して寛政二年(1790)iに石川島と佃島の中洲に作業場と収容所を設置したのを嚆矢(こうし)とする。天明の飢饉の後、江戸には無宿者が徘徊して社会の混乱を招いたからだ。彼等は引き取り人もなければ定まった職もない者が多かった。収容所では様々な作業があり、送られた者の意向によって紙漉き、鍛冶、屋根葺き、大工、左官、元結、草履作り、縄細工、米搗き、百姓仕事などが与えられる。そうして三年ほど経て、改悛の情の著しい者が世間に戻されるのである。その時、寄場で賃金が支払われる。言わば社会復帰のための場所であった。
宇江佐さんは、『鬼平犯科帳』をよく読みこんでいる、というのが私見だ。
たとえば、同巻に入っている[因果堀]では、掏摸(すり)が自分たちのことを〔稼ぎ人}と呼んでんでいる、なんて新造語を披露している。
池波さんが、盗賊たちに〔お盗(つと)め〕といった造語を与えたように。
ただ、こういして引用してみて、いかにも漢字が多すぎる文章だなぁ、とおもう。
漢字は10字中3字以下におさえないと。
ぼくなら、引用文の漢字のあと3分の1は開くなあ。
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