初音の馬場
馬喰町・初音の馬場
馬喰横山駅(都営地下鉄・新宿線)のA1を出て、ちょっと北西に歩いたあたりにあった馬場。
馬喰横山駅ギャラリーは、鬼平熱愛倶楽部がしょっちゅう、『江戸名所図会』塗り絵展に利用させていただいているから、おなじみ。
雪旦は珍しく、真正面にでんと、火の見櫓をすえて、「わしだって構図・遠近法のイロハぐらい心得とるわい」と。
もっとも、馬場は近くの餓鬼どもの遊び場。
(塗り絵師・永田永司 鬼平熱愛倶楽部)
広重は、色合いで勝負---いささ逃げ気味。これでは、「初音の馬場」の規模も伝わらない。
ま、幕臣たちが馬術をおこたっていたので、染屋が「ちょっと拝借」していたことはわかるが。
佐藤雅美さんの直木賞受賞作『恵比寿屋喜兵衛手控え』(講談社文庫)は、広重の絵をなぞり、
---北風がさえぎるように吹いて馬場に干してある幾枚もの、色とりどりの反物をはためかせた。
馬喰町は御入国(家康の江戸への入国)当初、馬と馬喰が集まった町で、ここ初音の馬場は御武家が馬を責めたところだが、戦などということの絶えて久しい当節は、火除地のようになっていてふだんは西へ数丁の、紺屋町の染物職人の染物の干場につかっている---
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0027馬喰町馬場
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コメント
『恵比寿屋喜兵衛手控え』(講談社文庫)は、佐藤雅美(男性)さんが、江戸経済小説から転身した作品。
池波さんになれてしまうと、文体がいささか乱暴だけど、興味深いです。
投稿: ちゅうすけ | 2006.11.13 17:44