御茶ノ水・水道橋
某サイトで[構図と描写]のタイトルで2日だけアップしたものを、[雪旦の江戸・広重の江戸]と改題してつづけて行きたい。
口上:
絵師・長谷川雪旦『江戸名所図会』に挿し絵を670余景提供した。
絵が細緻をきわめているため、江戸を書く時代小説作家はもちろん、江戸に興味をもつ人たちは手放せない。
雪旦の白黒の絵に「大人の塗り絵」と称し、彩色して現代によみがえらせる人たちもいる。
版元から『名所江戸百景』の企画を持ちかけられた広重は、さっそく、『江戸名所図会』の企画・著述をした草分(くさわけ)名主の斉藤月岑を訪ねて、雪旦の絵から想を借りることもあると、許しを乞うたといわれている。
地誌の挿し絵を描いた雪旦と、売りものの錦絵で描いた広重を比較してみる。
御茶ノ水・水道橋
四季おりおりのお茶の水辺の川ぞい風景を漢詩の世界になぞらえ、茗渓などと愛でた教養ある風流人たち。
雪旦の写実は、水道橋と懸樋を配し、その風韻を正直に伝える。
(塗り絵師・靖酔 鬼平熱愛倶楽部)
画面いっぱいに鯉のぼりを泳がせた広重。 見る者を圧倒するのは、さすが広重だが---。
さて、その構図は、水道橋でなければならないか?
神田川の風味を正しく掬みとっているか?
伝達と情味の違い、語りと歌の違いであろうか。
拡大画像は、↓クリック
0020御茶の水 水道橋 神田上水懸樋(かけとい)
| 固定リンク
« 永倉家とのつながり | トップページ | 梅屋敷 »
コメント
雪旦と広重がwho's whoにて復活塗り絵ファンとしては大変うれしいことです。
広重の見せる絵の構図に驚き、感嘆しますが、研究者にとって雪旦の細部にわたる描写に軍配をあげます。
楽しみにしております。
投稿: 靖酔 | 2006.11.09 08:32
ここだと、どれぐらいの人の眼にふれるか予想もつきませんが、鬼平好きの方の眼には入りましょうね。
ただ、熱愛の塗り絵師たちが、どれぐらい見るか、ですね。
投稿: ちゅうすけ | 2006.11.09 13:16