猫じゃらしの女
[6-2 猫じゃらしの女]は、密偵・伊三次の腰に〔猫じゃらし〕をつけさせて、躰の動きとともに発する微妙な音に興奮度を高めていく娼婦およねが、事件の発端となる。
娼家〔みよしや〕があったのは、上野山下「下谷2丁目」---俗に「提灯店(ちょうちんだな)」と呼ばれていたいかがわしい界隈(切絵図の右手の赤○)。
「提灯店(ちょうちんだな)」の名称のゆえんは、このあたりが生池院(しょうちいん)の持ち地所だったのがなまったと。
当初は、上野門前町として賑わっていたか。
生池院は、不忍池(しのばずのいけ)中の弁天堂の別当だった(切絵図の左手の赤○)。
『鬼平犯科帳』の執筆時、池波さんは掲出した近江屋板の切絵図をつねに座右に置き、江戸の町々を正確にたどっていた。
だから、鬼平の諸篇を、池波さんのネライどおりに読みこむなら、読み手側も近江屋板を手元に置きたい。
ついでだが、池波さんに猫じゃらしを贈ったのは、自分も猫を飼っている銀座のバアの女性だったと、エッセイにあかされている。
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