お勝、潜入(2)
「では、お竜(りょう 享年33歳)になりなさい」
「お竜お姉さんになるって?」
「死んだつもりで、そこへ寝なさい」
怪訝な面もちのお勝(かつ 31歳)が仰向けに寝る。
「目をつむる。なにがあっても、目をあけてはならない。ただ、死んだつもりで、じっと、寝ている」
銕三郎にすると、先夜、お豊(とよ 24歳>と演技しあった死姦を再現するつもりであったが、さすがに、「死姦」とはいわなかった。
「力をぬき、抵抗しないで、自然のままに---な」
「お竜---」
「はい」
「口をきいてはだめ」
「はい」
「お竜」
呼びかけて、瞼(まぶた)に唇をつけ、そっと動かすと、jまぶたがぴくりとふるえた。
つづいて唇へ。
そっとなめて、はなれ、また吸う。(北斎『縁結出雲杉』部分 イメージ)
くりかえしているうちに、お勝が開いた。
舌を、からませ、たしかめあう。
お勝の舌もからんできた。
舌が深くからんだ。
からめたまま、
「お竜---お竜」
「はい」
上にのり、肘で体重をささえ、秘所を接し、掌が乳房をまさぐる。
子をはらんだことのない乳首はちいさい。
おどろいたことに、乳房は、おんな男のお竜のほうが張っていた。
(くらべては、かわいそうだ)
お勝が小さくうめいて、足をひらく。
銕三郎のものは硬直しきっているが、割れ目にあてたままで、口を吸いつづける。
片方の指でぼんのくぼをゆっくりとなぜる。
お勝の片腕もあがってきて、首にくまきつく。
脇毛に息をふかけ、噛み、舌が這う。
お勝>の、もう一方の手が尻部にまわされた。
お勝が腰を微妙に動かす。
そのたびに、銕三郎が浮かせ、密着をはずす。
お勝が反りかえり、腰をあげる。
さらに浮かす。
尻にあてていた腕が抑えてくる。
銕三郎は、先端だけ接する。
尻部にあった手がすばやく銕三郎をつまみ、秘所へあて、するりと収まった。
腰を引くと、
「いや」
反った。
乳首をくわえ、ころがす。
お勝の両足が鉄三郎の胴をまき、腰の上で足首が組まれた。
(英泉 『好色 夢多満佳話』 イメージ)
「太い。硬い、でも、やさしい。熱い。長い。奥の骨にあたっています」
「躰が少女のようにやわらかだ」
「初めて---」
「なにが?」
「ほんとの男の人を入れたの---だんだん感じてきます。うれしい」
「おんなに、なるのさ」
「お竜お姉さん、ずるい」
「どうして?」
「だって、自分だけ、ひとりじめして、おんなになってしまったんだもの」
「お勝も、いま、なっているんだから、いいではないか」
「もっと、早く、なれば、よかった。あ、中が動く。とめられないの。とまらないのよ」
「どう?」
「信じられないほど、いい---あ、そこ、感じた。ふるえがくるほど、感じる」
「ここは?」
「きゅっと、感じた」
「いちど、拭いて、すべりをおさえるといい」
「まだ、つづくのですね」
「そうだ。まだ、序2段のあたりだ」
| 固定リンク
« お勝、潜入 | トップページ | お勝、潜入(3) »
「149お竜・お勝・お乃舞・お咲」カテゴリの記事
- おまさ、[誘拐](7)(2012.06.25)
- お乃舞(のぶ)の変身(3)(2011.05.31)
- お乃舞(のぶ)の変身(2)(2011.05.30)
- お乃舞(のぶ)の変身(2011.05.29)
- 化粧(けわい)指南師のお勝(7)(2009.08.30)
コメント
ちゅうすけ『鬼平』でも、手がかりつかみは、女スパイの潜入ですか。
たしか、山村信濃守の決まり手もそれだったように記憶しています(ネタばらし、ごめんなさい、といっても史実ですから)。
ちゅうすけ女スパイと、山村町奉行の手のものの女スパイの対決、これは見ものですね。
投稿: 文くばり丈太 | 2009.08.05 05:36
>文くばり丈太 さん
この事件のことを書いたらしい、諸田玲子さん『楠の実の熟すまで』の広告が、今朝の朝日の朝刊にでていました。
ネタは、文くばりの丈太さんのご指摘どおり、三田村鳶魚『幕府のスパイ政治』(青蛙房)でしょう。
長谷川宣雄まで推察しているかどうか、山村信濃守良旺(よしてる)から始まっていたら、ぼくたちの勝ちかも。
これから、なんとかして手にいれて、読んでみます。丈太さんも読んで、感想をおきかせくだされば、うれしいです。
投稿: ちゅうすけ | 2009.08.05 12:44
諸田玲子『楠の実の熟すころ』(角川)、教えていただき、ありがとうございました。
さっそく、図書館に予約を入れましたが、さすがです、12人待ちとのことでした。
待ちます。
それにしても、操をかけての女スパイの実話ですから、女性作家としては見逃せないネタですものね。
投稿: 文くばり丈太 | 2009.08.06 05:53
近くの書店に求めに行きましたが、売れてしまったと。配本部数がまるで少なく、注文すれば取り寄せる、と言われました。
12人待ちだし、6ヶ月先になりますね。
入手して、読んでしまったら、お貸ししましょうか?
投稿: ちゅうすけ | 2009.08.06 13:44
>ちゅうすけ先生
『楠の実の塾すとき』をお読みになったらお貸しくださるとのことですが、図書館に申し込みをしてありますので、どうぞ、ご放念ください。
待つのも読書の楽しみの一つとおもっております。
投稿: 文くばり丈太 | 2009.08.07 05:12
>文くばり丈太 さん
了解です。
そう、待つのも、読書人の心得ですね。そのあいだに、余計なことを調べて、意外な発見をしたのりして。
お読みになったら、また、お教えください。
投稿: ちゅうすけ | 2009.08.07 11:28