お乃舞(のぶ)の変身
(それは、困ったことだな)
平蔵(へいぞう 37歳)の正直な気持ちであった。
お乃舞(のぶ 23歳)は化粧師(けわいし)・お勝(かつ 41歳)の代理であり、10年ごしの相方(あいかた)であった。
お勝の立役であったお竜(りょう 享年33歳)が、29歳のとき、平蔵(24歳=当時)によってはじめておんな(?)に目ざめた。
【参照】2008年11月17日~[宣雄の同僚・先手組頭] (8) (9)
2008年11月25日[屋根船]
2008年11月27日[諏訪左源太頼珍(よりよし)] (3)
お竜からは、盗賊たちの戦略を学んだ。
そのお竜が琵琶湖で溺死したあと、お勝もおんな(?)にしてしまった。
平蔵が27歳、お勝は31歳であった。
【参照】2009年8月4日~[お勝、潜入] (1) (2) (3)
2009年8月24日~[化粧(けわい)指南師のお勝] (1) (2) (8) (9)
2009年9月25日~[お勝の恋人] (1) 2) ((3)
8年前の初冬に、お乃舞(15歳=当時)とお咲(さき 12歳=同)をつれ、お勝(33歳=同)が江戸舞いもどってからも、たまに、せがまれて抱いていた。
そのことは、お竜(りょう 33歳)とのこととともに、里貴(りき 38歳)には伏せてきた。
権七(ごんしち 50歳)もそこまでは立ち入っていないはずであった。
だから、品川の元締・〔番場(ばんば)〕の嫡男の五左次(いさじ 22歳)がお乃舞(23歳)に一と目惚れしたらしいと察し、うかぬ顔をしているのは、お勝とお乃舞とのあいだにおもいをいたしているからに違いなかった。
平蔵は、お竜、お勝とのはじめての夜のことを、あさってのほうに目をやりながらおもいだしてみた。
というより、相手がすこしでもさからったかどうかであった。
そんな気配はなく、むこうから燃えた。
すると、五左次にさそわれたとき、お乃舞もさりげなく受けいれるかもしれない。
そうなったときに、お勝が狂乱しなければよいのだが---。
平蔵里貴は、
「お乃舞さんが一つ齢上っていうのも、、なんとなく微笑ましい」
自分と平蔵の齢の差にあてはめていた。
「男とおんなのあいだのことは、当人同士にしかわからぬものよ」
平蔵の言葉に、
「はたから煽ることはできます」
「無理はしないことだ」
「さようでございます。成り行きにまかせやしょう」
権七(ごんしち 50歳)が、さすがに平蔵の思惑を察した。
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コメント
お乃舞さんにボーイ・フレンドができそうですね。
なんだか、ほのぼのとしてきそう。
でも、お勝さんが許すかしら。
投稿: tomo | 2011.05.29 06:10