〔雲津(くもつ)〕の弥平次
『闇の狩人』(新潮文庫 上下)の主人公の一人。
『報知新聞』に、昭和47年(1972)11月1日から翌48年11月25日まで連載され、昭和49(1974)年新潮社から単行本。昭和55年(1980)9月25日に同文庫。
数年前に読んだがすっかり忘却しているので、いま、わくわくしながら読み返し、盗人たちの〔通り名(呼び名)〕をリストアップしているところ。
年齢・容姿:上州と越後の山間にある坊主の湯で療養していたときは42歳。江戸で活躍しているのは3年後の45歳。
口は小さい。細い眼が柔和。濃くぽってりした眉。
小柄で細い躰だが、裸になると筋肉は針金でも縒りあわせたようにひきしまっている。
生国:能登国珠洲郡雲津郷か?(現・石川県珠洲〔すず〕市三崎町雲津)か?能登半島の最先端にあたる故郷の匂いはほとんど書かれていない。
探索の発端:大坂出身の巨盗〔釜塚〕の金右衛門の小頭だったが、いまわの際の首領から後継をいわれたものの独りばたらきを願望している。ところが後釜を目指している五郎山の伴助と土原の新兵衛の争いにまきこまれ、生命を狙われる。
いっぽうでは、坊主の湯で助けた若い武士が仕掛人になってしまっているのを憂慮。
つぶやき:付きあう人、知りあう仁に好感を与え、どうしてああも親身になってもらえるのか、〔雲津〕の弥平次のもののいい方、接する仕草、考えようを確かめたい。
珠洲市も訪ねてみたい。坊主の湯のことも調べたい。
そういえば、これまで、20人以上の盗人たちを列挙したが、故郷の匂いを発散させている仁はいなかったようにおもうが、なぜだろう? 池波さんが東京生まれで、田舎をもたないからかしらん。
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コメント
ちゅうすけさん、
『坊主の湯』気になりますね。
上州と越後の国境に近くて、峠を登ると越後の山が見えるというのならば上州側なんでしょうか?
沼田とか水上とか・・・。
同じ『坊主の湯』でも鬼平犯科帳に出てくるのは三国峠のふもとですよね。
投稿: KEI | 2005.01.26 10:39
珠洲市は能登半島の最先端にある、今でもローカル
カラーあふれる町のようです。
私は、珠洲市というと灰黒色の珠洲焼きを連想します。
珠洲市出身の友がいて、よく故郷の話を聞いていたので、「雲津の弥平次」が珠洲出身ときいて、なんだか
昔の懐かしい人に出会ったような親近感を憶えてしま
いました。
弥平次の風貌や人となりからして、何故盗人になった
のか、とても気になります。
「闇の狩人」読んでないので、早速図書館へ、探しに
出かけます。
投稿: みやこのお豊 | 2005.01.26 11:44
KEIさん
越後の山々が望める---というから、上州側ですよね。
近くを猿鳴き(さるなき)川が流れているとも、あります。
ところが、「猿鳴」をCD版「郵便番号簿」で検索したら、なんと、愛媛県南宇和島郡御荘町猿鳴しかありませんでしたよ。なんなんでしょうね。
投稿: ちゅうすけ | 2005.01.26 14:12
>みやこのお豊さん
さっそく、珠洲をご存じの方が現れて、うれしい。
こんど、珠洲ご出身のお友だちのお話をきかせてください。
投稿: ちゅうすけ | 2005.01.26 14:14
群馬県利根郡新治村に『法師温泉』というのがあります。
「弘法大志巡湯の折の発見と伝えられ、”法師の湯”と呼ばれています」と説明書きがありました。
ここって『坊主の湯』?
近くに『猿ヶ京温泉』もあり、猿鳴と関係あるのかしら?と勝手に推測してみたり。
あれこれ考えるのは楽しいですね。
投稿: KEI | 2005.01.26 14:51
「猿ケ京」の関所を、池波さんは、[さいころ蟲]という短篇に書いています。
昭和35年(1960)の『小説倶楽部』3月号に発表したものです。
塚原、須川と赤間川の渓流に沿った街道を相俣の部落まで来ると---うんぬん。
暮れるまでに猿ケ京の関所もうまく抜けて、永井宿に泊まり、翌朝は---うんぬん。
こうして手越の平八がたどりついた湯が、
唐沢と稲包の山裾に挟まれた湯場---うんぬん。
こうした地名で、「坊主の湯」の位置が推測できませんか?
投稿: ちゅうすけ | 2005.01.26 16:30
上に書いていただいた文章を頼りに地図を見てみました。
場所的には『法師温泉』と一致するようですね。
実際に訪ねてみたくなります。
投稿: KEI | 2005.01.26 16:53
そうでしたか、地図と一致しましたか。
今日、手元にとどいた[KAWADE夢ムック 文芸別冊 池波正太郎 歿後15年記念特集]の、筒井ガンコ堂さんの[池波正太郎の「旅」]に、『食卓の情景』の[ランプの宿]に、10代のころに「法師温泉」へ行った文章が載っていると、あります。
これから、『食卓の情景』を取り出して読んでみます。
そうしそう、上記ムックに、[『仕掛人・藤枝梅安』を読む]を寄稿しました。
投稿: ちゅうすけ | 2005.01.26 17:08
ちゅうすけさんのコメントで思い出しました。
池波さんが田中冬ニの詩を読み法師温泉を訪ねたことを、それを読んで靖酔も友人を誘って法師温泉に行きました。
旅館は新館も出来、勿論ランプではありませんでしたが、温泉は昔のままの佇まいで深夜湯につかっていたとき女性が二人入ってきて白く浮かんだ姿が印象的でした。
投稿: 靖酔 | 2005.01.26 20:07
『食卓の情景』の[ランプの宿]、読みました。
「法師の湯」へは、上越線の後閑駅から観光道路で行くのですね。
路線バスもあるのでしょうか。
混浴ですか? それ、ちょっと、困ります。
投稿: 加代子 | 2005.01.27 08:36
池波さんが行かれたのは法師温泉の長寿館です。
私が行ったのはもう20年前以上です。
現在でも混浴が建前ですが、最近は20時から22時は女性専用となっているそうです。
でも湯けむりのなかで肩から湯をかける女性の姿きれいでしたよ。
投稿: 靖酔 | 2005.01.27 09:04
googleで、「法師温泉」と入れて検索したら、ある、ある---ぞろぞろ、出てきました。
温泉ブームのようで、いろんな機関が温泉特集をしています。個人の体験記もありました。
その中から、
www.matatabi.ne.jp/houshi/
をあけてみました。
いろんなことがわかりました。
投稿: ちゅうすけ | 2005.01.27 10:18
珠洲市を、google で検索してみました。
市の歴史---飯田・宝立・正院町、上戸・直・若山・蛸島・三崎・西海村が合併、市制を施行
とありました。
三崎村はありますが、雲津はありません。三崎村の字だったのでしょう。
こういう細かいことは、市の広報に聞くしかないですね。
投稿: ちゅうすけ | 2005.01.27 10:55
今頃の投稿なのですが、私、珠洲市三崎町雲津の出身です。これって、以前に弥平次さんが当地にいたってことですか?
投稿: ふっしー | 2006.06.21 18:32