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2005.01.30

〔霧(なご)〕の七郎

『鬼平犯科帳』文庫巻4に収録の[霧の七郎]のほか、巻3[むかしの男]、巻5[山吹屋お勝]にも登場する、盗賊団の首領。

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年齢・容姿:[[山吹屋お勝]のとき、41歳。でっぷりとした躰つきの大男で、おだやかそうな風体。
生国:武蔵(むさし)国江戸・深川
父親は、深川・亀久橋たもとの船宿〔みのや〕の船頭だった。

探索の端緒:15年前の恋仲だった〔山吹屋〕のお勝ことおしのとともに姿を消す〔関宿〕の利八(43歳)が、武州・桶川の休み茶屋〔飯野や〕の若い者(の)にことずけた手紙で、〔霧〕の七郎の所在が知れた。
駒込片町の数珠屋〔油屋〕がそれであった。
(参照: 〔山吹屋(やまぶきや)お勝 の項)
(参照: 〔関宿(せきやど)の利八 の項)

〔蓑火〕の喜之助が老齢を理由に、一味を解散したあと、おしのは〔霧〕の一味に身を寄せていたのである。
(参照: 〔蓑火(みのひ)の喜之助 の項〕)

そして、鬼平の実母の巣鴨の実家で、従兄の三沢仙右衛門をたらしこんで家に入り込んだ上で〔霧〕の一味を手引きし、一家を皆殺しにして鬼平を苦しめる計画であった。
というのも、〔霧〕の七郎は、さきに鬼平によって処刑された〔小川や〕梅吉の実弟であり、[むかしの男]事件で捕まり島送りになった老婆おすえは義母であっために、復讐の機を狙っていたのである。
(参照: 〔小川や〕梅吉の項)

結末:駒込片町の〔油屋〕で捕まったのは、〔霧〕の七郎ほか5人。七郎は過去に殺傷の罪状が幾度もあったとが発覚し、獄門。ほかの者は死罪。

つぶやき:稼ぎ場所の中国筋では名が知られていた〔霧〕の七郎だったが、実兄の〔小川や〕梅吉の仇をとるべく入府して幾度となく鬼平の命を狙うがことごとく失敗しているのは、この盗人の計画がどことなく甘かったからのように見える。
やはり、田舎では通用しても、鬼平組のほうが1枚も2枚も役者が上ということであろう。
ことに、鬼平の奥方・久栄のかつての恋人・近藤勘四郎を使ったり、剣客浪人・上杉周太郎を雇ったりは、いかにも人品を見きわめる眼が甘い、としかいいようがない。
おしのには、躰の関係をつけていたのであろうか。もしそうなら首領として、手なずけ方も甘かったのでは?

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コメント

〔霧〕の七郎は、おこんと躰の関係つけてたかどうかって見方、おもしろいねえ。

あたしは、つけてたと思うな。

そうでなければ、三沢仙右衛門をたぶらかすなんて役目をまかせるわけがないものねえ。つまり、いざとなれば、仮の躰を貸すわけだから---。

でもね、若い頃の利八との顛末がそうとうにトラウマとなって残っていての結末だと推察。

投稿: 裏店のおこん | 2005.01.30 11:59

>おこんさん

おこんさんは、〔霧〕のお頭はおしのと躰の関係があったとおっしゃる側なのですね。
ぼくも、どっちかというと、それに近い見方をしていますが。

しかし、そうであろうとなかろうと、おしのが〔霧〕のお頭を裏切ってむかしの恋人〔関宿〕の利八と逃げたのですから、結果的に〔霧〕一味を売るようなことになり、2人の前途は決して明るくはありませんね。

〔霧〕一味が全員逮捕されたわけではありませんからね。

ところで、〔霧〕の七郎には、参謀格というか、小頭級の配下はいなかったのでしょうか。そうなら、〔霧〕のお頭は、そう、たいした人品ではなかっともいえます。

投稿: ちゅうすけ | 2005.01.30 16:17

2005年2月8日のフジテレビ、スペシャル2時間番組[鬼平犯科帳]の『山吹屋お勝』(おしの)は、かつて〔夜兎〕の角右衛門の下にいて、〔蓑火〕から移ってきた〔関宿〕の利八と色事をおこしたため、〔蓑火〕に引きとられた。
しかし、〔蓑火〕の喜之助が老齢(60代半ば)のために一味を解体したので、そのあと、〔霧(なご)〕の七郎の配下となっていた。

スペシャル『山吹屋お勝』は、この〔霧(なご)〕の七郎とのかかわりを長々と撮っているが、この盗人は、〔小川や梅吉〕の弟ということで、鬼平への憎悪・復讐心だけが強い盗人で、そうたいした知恵者ではないとおもうのだけれど。

投稿: ちゅうすけ | 2005.02.12 04:55

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