女賊おみね
『鬼平犯科帳』文庫巻4に収録されている[おみね徳次郎]で、兇賊〔網切(あみきり)〕の甚五郎一味の引きこみと錠前外しの腕ききとの〔山彦(やまびこ)〕の徳次郎(30歳前後?)は、四谷・伝馬町2丁目裏の長屋で同棲しているおみねが、巨盗 〔法楽寺〕の直右衛門の配下の女賊であることを知らない。躰と肌があった女、と単純におもいこんでいる。
(参照: 〔山彦〕の徳次郎の項)
(参照: 〔法楽寺〕の直右衛門の項)
そこへ、〔網切〕から、次のお盗めのために上方へ集まるようにとのつなぎがあり、邪魔になりそうなおみねを絞殺しようとしたところを見破られる(ふい、と消えればどうってことないのに---。知恵がまわらないねえ)。
年齢・容姿:おまさより4つ年少(p214 新装版p225)という。この篇は寛政元年(1789)夏から秋へかけての事件だから、おまさ32歳---で、おみねは28歳。小柄で細っそりとした躰つきだが、胸と腰の肉置(ししお)きはすばらしい。受け唇。お歯黒。
(参照: 女密偵おまさの項)
生国:おみねが7つ8つ、おまさが11か12のころからの幼なじみというから、江戸生まれと推察できよう。
探索の発端:四谷の全勝寺の前で、おまさが幼馴染のおみねに出会ったことから、見張られて、〔法楽寺〕の直右衛門一味の〔名草(なぐさ)〕の嘉平が店主として預かっている千駄ヶ谷の仙寿院前の茶店と、浅草新堀の浄念寺門前の盗っ人宿がつきとめられた。
(参照:〔名草(なぐさ)〕の嘉平の項)
strong>結末:浄念寺門前の茶屋〔ひしや〕を急襲した火盗改メ17名は、〔法楽寺〕一味の6名を捕らえたが、おまさとの約束により、鬼平はおみねを特別のはからいにした。
つぶやき:おまさとの約定にしたがって赦免されるおみねを、筆頭与力・佐嶋忠介が「密偵として使いますか」と鬼平に問いかけると、
「そりゃ、いかぬ。同じ稼業をし、同じ女であっても、おまさとおみねではくらべものにならぬ---。女という生きものは、みな一色のようでいて、これがちがう。女は男なみの仕事をさせたときにちがってくるのだ」
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