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2005.10.02

男装剣客・津山薫

『鬼平犯科帳』文庫巻12に掲載されている[白蝮]の男装のヒロイン---津山薫、じつの名はお初。小野派一刀流の名手を父親にもち、みずからも剣をよくした。
生前の松尾喜兵衛の道場で同心・沢田小平次と同門だったが、沢田は3本に1本もとれなかった。

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年齢・容姿:27,8歳。すっきりとした躰つき。総髪。
生国:美作(みまさか)国西西条郡(にしさいじょうこうり)津山城下(現・岡山県津山市)。
姓は森だが、仮名に津山を名乗っており、父親が中国筋の某藩の家中だったということからの類推で、津山藩の出と見た。

探索の発端:鬼平の息・辰蔵が贔屓にしている、谷中・いろは茶屋〔近江屋〕の妓お照を女だてらに買う男装の剣客・津山薫の帰路を、待ち伏せてからんでみたが、歯がたたなかったばかりか、白扇を額になげつけられ、辰蔵の目がくらんでいるあいだに、まんまと逃げられた。
白扇は、押し入った盗賊に大金とともにもちさられた鍛冶橋門外の小間物店〔丁子屋〕のものと、鬼平は読んだ。
津山薫が逃げたとおもわれる小石川一帯に捜索の網ガ張られ、同心・沢田小平次が、指ヶ谷1丁目、心福院裏手の印判師の家へ入っていった津山薫をつきとめた。

結末:印判師の家へ向ったのは、鬼平の指揮のもとに捕り方22名。その囲みを破って逃げる薫は、白い寝衣の前ははだけ、こんもりした乳房もあらわだった。
沢田同心が「お初どの」と声をかけ、決闘となった。
一瞬、沢田の剣のほうが早く、肩から乳房へかけて斬られ、倒れた薫の白衣がみるみる血に染まった。

つぶやき:男装剣客は、池波さんお好みのヒロインの一つでもある。直木賞をうけた昭和35年(1970)の『別冊文藝春秋』に発表した[妙音記]の佐々木留伊も、男装して夜な夜な侍を川へ投げ込み、自分より強い男でないと結婚しないなどと強がるヒロインの物語。その出来ぶりに満足、とエッセイに記しているし、この篇よりも先に書かれた『剣客商売』でも、男装の剣士・佐々木三冬にかなり肩入れしている。

心福院は、池波さんがこのときにたまたま開いた近江屋板の誤植で、正しくしは「正福院」。
このことは、http://homepage1.nifty.com/shimizumon/board/index34.htmlの7月15日の掲示板に図示しているので、ここでは重複をさける。

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