〔上蚊野(かみがの)〕の乙五郎
『鬼平犯科帳』文庫巻2に収録の、寛政3年(1791)初夏の事件である[蛇の眼]に、「去年(注・寛政2年)の暮れから今年の春にかけ、凶賊・上蚊野(かみがの)の乙五郎をはじめ、かなり大きな組織をもつ盗賊団が三つほど、平蔵の手によって捕縛されたし、小さな泥棒の逮捕に至っては数えきれたものではない」とある。
年齢・容姿:どちらも、記述されていない。
生国:近江(おうみ)国愛知郡(えちこうり)上蚊野(かみかの)村(現・滋賀県愛知郡秦荘(はたしょう)町上蚊野(かみかの))
池波さんは(かみがの)と濁ってルビをふっているが、地元では(かみかの)と濁らないようである。ほかに「蚊野(かの)」「蚊野外(かのと)」という地名も同地区にある。
探索の発端:記述がない。冒頭の文章だけである。
結末:こちらも記述がないが、わざわざ「凶賊」とふってあるから、死罪はまちがいないところ。
「兇賊」と「凶賊」を、池波さんばどう区別していたのかも不明。
つぶやき:『鬼平犯科帳』全24巻には、捜査の経緯や結末が書かれていない逮捕事件が、〔上蚊野〕一味のほかにも、
文庫 篇名 事件
[1-4 浅草・御厩河岸] 〔真泥〕の伊之助を堀帯刀が逮捕。
(参照: 〔真泥〕の伊之助の項)
[1-7 座頭と猿] 〔五十海〕の権平を逮捕。
(参照: 〔五十海〕の権平の項)
[2-4 妖盗葵小僧] 〔赤観音〕の久兵衛を高崎へ出張って逮捕。
(参照: 〔赤観音〕の久兵衛の項)
[4-5 あばたの新助] 〔神崎〕の弥兵衛一味を越ヶ谷へ出張って。
(参照: 〔神崎〕の弥兵衛の項)
[8-2 あきれた奴] 〔日影〕の長右衛門一味の逮捕。
(参照: 日影の長右衛門の項)
[8-5 白と黒] 高輪台で">〔門原〕の重兵衛一味を逮捕。
(参照:〔門原〕の重兵衛の項)
[10-3 追跡] 岡部へ急行、坂田一味11名を捕縛。
[10-6消えた男] 高松元同心の働きで5組の盗賊を逮捕。
[12-1いろおとこ] 〔舟見〕の長兵衛一味、
(参照: 〔舟見〕の長兵衛一味)
〔鹿熊〕の音蔵一味の逮捕。
(参照: 〔鹿熊〕の音蔵の項)
[13-2 殺しの波紋] 〔高窓〕の久兵衛の後釜の浪人逮捕。
(参照: 〔高窓〕の久兵衛の項)
〃 3年前、〔下津川〕の万蔵一味6名を逮捕。
(参照: 〔下津川〕の万蔵の項)
[14-4 浮世の顔] 〔神取〕の為右衛門に何度か臍を噛だ。
(参照: 〔神取〕の為右衛門の項)。
[14-5 五月闇] 〔四ッ屋〕の島五郎を逮捕。
(参照: 〔四ッ屋〕の島五郎の項 )
[16-6 霜夜] 〔須の浦〕の徳松一味を池田又四郎が襲う。
(参照: 〔須の浦〕の徳松の項 )
[18-4 一寸の虫] 〔不動〕の勘右衛門一味の逮捕。
[20-1 おしま金三郎] 牛尾一味の逮捕。
(参照: 〔牛尾〕の又平の項)
[21-4 討ち入り市兵衛]〔蓮沼〕の市兵衛。
(参照: 〔蓮沼〕の市兵衛の項)
[21-5 春の淡雪] 〔雪崩〕の清松の密告により3件の事件が解決。
[24-1 女密偵女賊] 浪人:大野甚五郎を逮捕。
などがあり、自分で勝手に、探索の発端や見張りの手配、結末などが空想できる。
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