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2005.10.11

下女泥(げじょどろ)お今

『鬼平犯科帳』文庫巻8に所載の[白と黒]に描かれている2人の下女泥のうち、歳かさので肌が浅黒いほうがお今が当人。もう1人の若いくて抜けるように色白のほうはお仙(20歳前後)だ。それが篇名のゆえん。
年増のお今のほうは、深川・海辺大工町の薬種屋〔長崎屋〕方から38両余を盗んでドロンした。
お仙が下女として奉公に入ったのは、同じ深川の、佐賀町の菓子舗〔船橋屋〕。10日目に23両を盗んで消えた。
捜査を命じられたのは、〔兎忠〕こと同心・木村忠吾(26歳)である。

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年齢・容姿:27,8歳。色の浅黒い、小柄で痩せている。彦十にいわせると、こういう体形の女にかぎって色のほうがすさまじいのだと。顔にうすい痘痕(あばた)がういている。
生国:不明。
1年前の2月に捕縛された下諏訪の出の〔門原(もんばら)〕の重兵衛一味で、5年ほど前に引き込みをしていたというから、甲斐国あたりの生まれとも推察できるし、浅黒い肌ということで、関東のどこかともいえないことはないが、とりあえず不明ということに。
(参照: 〔門原〕の重兵衛の項)

探索の発端:駒込から王子と微行巡回をした帰り、鬼平は亡母の実家、巣鴨村の三沢仙右衛門(53,4歳)宅へ立ち寄り、たまたま来ていた富の市に筋肉をもみほぐしてもらった。
夕食を終え、富の市とつれだって感応院・子育稲荷の門前で、鬼平は、{門原〕一味の逮捕のときに取り逃がした軽業゜あがりの〔翻筋斗(もんどり)〕の亀太郎を見かけた。
亀太郎は富の市のお顧客だったから、亀太郎の家も知れ、見張りがついた。
見張られている亀太郎の家へ、お今とお仙が入っていった、3人による性の狂乱が行われていた。

結末:火盗改メが踏みこんでみると、お今とお仙はまっ裸のまま捕縛。亀太郎も裸で逃げ出したところを鬼平に捕まった。
亀太郎の自白によると、27歳にもなっているのに、女のお今・お仙から受けた、初めての性のもてなしだったという。
鬼平は、どこを見込んだのか、筆頭与力・佐嶋忠介に、亀太郎を密偵に仕立てるように命じた。

つぶやき:お今が亀太郎にほどこしたのは、女賊がお盗めとお盗めのあい間の、〔男買い〕の一種だったんだろうか。
一仕事がおわると、女賊もその種の気ばらしで発散しないと、張りつめていた神経が休まらないのかもしれない。

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