視覚的な説得力
[『鬼平犯科帳』の彩色(ぬりえ)『江戸名所図会』] なるホームページ、開設して5年を経過した。
このごろは、400 /日アクセスを維持。累積アクセス数は間もなく、540,000に。
『鬼平犯科帳』を執筆するにあたり、作者の池波さんがいつも座右においていた主要な史料は3つ……
『江戸名所図会』
「江戸の切絵図」
『江戸買物独案内』
各文化センターの[鬼平]クラスでの講義でこの3史料を援用して物語の内容を絵解きしてみたら手ごたえ十分で、受講者の反応が高かった。
いける! 関東エリア外の鬼平ファンもインターネットで見られるようにしなければと思いたち、プロのデザイナーの力を借りてホームページづくりに挑戦したのだ。
アクセスしてくれた某紙パソコン欄担当のS記者は「個人のホームページでこんなに美しいのは初めて」と。
『ダカーポ』誌のE編集長も「鬼平ファンならよだれものの情報がつまっている」と激賞メールをくれた。
点の辛い玄人(くろうと)の採点に勇気百倍。
すでにアップしていたものをバージョンアップ(?)の形で、2つのブログ、立ち上げた。
1つがこの [『鬼平犯科帳 who's Who]
もう1つ…… [大人の塗絵 『江戸名所図会』]
『名所図会』の彩色に各[鬼平]クラスの受講者の有志の手をわずらわしたものを加えた。これが意外な効果をあげることになった。
『図会』からとった白黒の同じ元絵でも塗り絵師(?)の個性や色彩感覚によって大きく異なった印象の絵に仕上がっているからだ。
「塗り絵師」を、特別な教課をへなければもらえないタイトルと思いこんでいる人もいるらしいが、この試みのために考案した新語で、『名所図会』の彩色をした人はすべて自称「塗り絵師」。
『名所図会』には江戸後期の名絵師・長谷川雪旦の挿絵が670景ばかり収録されている。
電子紙芝居『鬼平犯科帳』とでも名づけてもよかったが、紙芝居なんてもう実体がなさそうなので、「大人の塗り絵」。
うち『鬼平犯科帳』に登場したり関連がある景色は200景前後だ。
おいおい、リーダーはどうなっているのだ? とおとがめにならないで。
リーダーの必須能力のひとつに、ポンチ絵……つまり、簡単な素描を描いて説明できること、というのがある。
塗り絵のほうはは素描(デッサン力)ではなく色彩感覚に属するが、描くという点では似たようなものだろう。
絵といえば、池波さんは子どものときから絵を描くことが大好きで、後年はそちらでも腕をふるった。
『鬼平犯科帳』でも視覚的な文章になっている。
[本門寺暮雪]の雪の降る石段での〔凄い奴〕との、映像的な死闘シーン。
つまり、『鬼平犯科帳』を深読みするためには絵画的・映像的な理解力が必要なような気がするのだ。あながち我田引水とはいえまい。
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