『江戸買物独案内』町ごと
『鬼平犯科帳』は、富裕な商店を襲う盗賊団、それを捕捉する火盗改メ・長谷川組の物語である。
これを、リアリティを持たせて描くには、商店側の史料が必要。
池波さんが座右においていたのが、『江戸買物独案内』(文政7年 1824刊)と京都の『商人買物独案内』であったことは、いまでは、『鬼平犯科帳』を人一倍楽しんでいる通のあいだでは、常識になっている。
ただ、困るのは、『江戸買物独案内』にしろ『商人買物独案内』にしても、業種別に編集されているところ。
というのは、大きいところでは1店で7業種も8業種も兼営している。
真綿問屋と思っていると、呉服問屋のページにも名前を出している。つまりこの問屋は、呉服が本業であって、真綿は副業である。
だから、真綿問屋を襲ったと書いては、間違いに近い。
こうしたミスを防ぐには、『江戸買物独案内』の2,622枠の名刺広告をすべて切断し、町ごとに並べ替え、同じ屋号、同じ屋標(商店のマーク)のものを隣りあわせにするしかない。
そう思いたち、10年ほど前から、暇をみては町ごと『買物独案内』をつくってきた。
もっとも大きな問屋がならんでいた本町1丁目から4丁目までを示す(このブログの制限で図版は小さくしか掲示できない。あらためて、もう一つのブロク---[大人の塗り絵]のほうへ、順次掲示する計画を立てているので、今日のところは、これでご容赦を。)
同じ色のドットが、同じ店の経営である。
兼業がけっこう多いことをおわかりいただくだけで、今日のところはよしとしたい。
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コメント
いつも講座で地図資料を頂き、便利に拝見しておりましたが、気の遠くなるような大変なご研究の結果だったのですね。
こうして出来上がった新しい「買物独り案内」から新たな発見がありそうです。
投稿: みやこの豊 | 2007.02.09 01:23