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2012.04.25

先手・弓の目白会(6)

(そういえば、『鬼平犯科帳』全24巻の中に、火盗改メの組屋敷に放火する盗賊団の凶行はあったかな)
老練な組頭・一色源次郎直次(なおつぐ 68歳 1000石)の自慢と矜持ともつかない独断を拝聴しながら、ちゅうすけは池波さんと交わした会話をおもいだしていた。

池波さんとともにちゅうすけは、読売新聞社による〔映画広告賞〕の審査員を10年間ほどつとめていたことがあった。

審査後のくつろいだ雑談のときに、
長谷川平蔵は火盗改メですから、放火犯を捕らえるのも役目のうちですが、そっちの話はあまりでてきませんね」
うっかりいってしまった。

池波さんは怒りも しないで、
「火事の描写はむずかしいんだよ。ぼくは火事がきらいでね」
これだけおっしゃった。

ところが、それから半年もしないうちに長編『炎の色』が発表された。
「あ、ご返事のおつもりだな」
おもうとともに、未完におわった『誘拐』の、少なくともおまさを救出する場面だけは、このブログで書かないと、と奮起した。

そのつもりで今年までやってきた。
ところが、ちゅうすけに病魔がとりつき、余命がいくばくもないことを担当医に宣告された。

平蔵はまだ41歳、火盗改メにすらなっていない。

ところで、悪知恵にたけた盗賊団が報復のために放火するとしたら、組屋敷であろうか、役宅か。それとも平蔵の自宅か。

犯科帳』は物語の都合で役宅が重要な地位をしめている。
もちろん、池波さんもそのことは百もご承知だし、読者のほうもこころえながら、架空の役宅での起伏をたのしんでいる。
ただ、ちゅうすけとしては、このブログでは史実どおりに、三ッ目の通りの長谷川邸を役宅としたい。
とすると、放火されるのは長谷川邸となる。
ただ1238坪もある敷地だから樹木も多かろう、周囲の幕臣の屋敷も似たようなものだ。
日本橋あたりの商舗が密集した地区のように大火になるかどうか、自信(?)がない。

ということで、思案がきまらない。
で、目白台の組屋敷に通じている一色直次老にうかがいを立ててみた。

「それは君ィ、盗賊によるさ。〔蓑火みのひ)〕の喜之助や〔狐火きつねび)〕の勇五郎なら放火なんかしないだろうがね」
「両巨頭ともすでに死んでしまっています。相手は、〔荒神こうじん)〕のおです」
「おなご、なあ。おなごは日によって気分がころころと変わるからの。その場になってみないことには、なんともいえない。ま、両様の対策をたてるんだな」

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