〔池田屋(いけだや)〕五平
『鬼平犯科帳』文庫巻21の掲載の[春の淡雪]で、神楽坂・毘沙門横町に薬種店〔池田屋〕を構えている正統派の首領。
年齢・容姿:53歳だが、髪も黒々としていて、4つ,5つは若く見える。小肥り。血色のよい顔。
生国:近江(おうみ)国甲賀郡(こうかごおり)池田村(現・滋賀県甲賀市池田)。
池田という地名は全国に、それこそ、書ききれないほどあるが、江戸でのお盗めは10年ぶりとあるし、業種が薬種店ということ、〔帯川(おびかわ)〕の源助一味のテリトリーが上方中心であったことなどから、甲賀を選んだ。
〔忍者丸〕とか〔首より上の薬〕など、いまでも甲賀は家庭薬の製造地である。
「日本の伝統的ななパッケージ・デザイン展」を、プッシュピン・スタジオのシーモア・クワストと共同で、ニューヨークをはじめ米国各地で開いたのは20年も前のことである。
(参照: 〔帯川〕の源助の項)
探索の発端:京扇店〔平野屋〕の番頭・茂兵衛は、かつては〔馬伏(jぶせ)〕の茂兵衛といって、〔帯川(おびかわ))の源助の右腕だった。引退後、ひょんなことから火盗改メと関係ができた。
(参照: 〔馬伏〕の茂兵衛の項)
茂兵衛が見かけたのは、〔雪崩(なだれ)〕の清松と〔日野(ひの)〕の銀太郎という流れづとめの盗人だった。
2人は、現役のころの〔帯川〕の源助に、使ってほしいといったが、銀太郎に血の匂いをかいだ源助は断った。
茂兵衛が尾行すると、2人は荏原郡・中延にある千束池畔の茶店の裏手の茅ぶきの小屋へ入った。
千束池畔の茶店(『江戸名所図会』より 塗り絵師:ちゅうすけ)
火盗改メが小屋を見張っていると、銀太郎は、神楽坂・毘沙門横町の〔池田屋〕を訪れた。この店の番頭が〔平瀬(ひらせ)〕の音吉(60歳前後)であることを、密偵〔大滝〕の五郎蔵が見破った。これで、〔池田屋〕が盗人宿ときまった。
結末:、〔池田屋〕五平の幼娘をかどわかした〔雪崩(なだれ)〕の清松と〔日野(ひの)〕の銀太郎は、1,000両の身代金を要求。引渡しにあらわれたところを鬼平に捕らえられた。その前夜、五平一味16名は捕縛されていたのである。五平にしたがって千両箱を担いでいた小者は、鬼平だった。
つぶやき:20年近くも書きつづけられると、 さすがの名シリーズも、ムリが見えないでもない。〔雪崩)〕の清松と、同心・大島勇五郎の関係、しかも大島同心の博打による借財、〔日野〕の銀太郎と〔雪崩)〕の清松を見つけた茂兵衛、〔平瀬〕の音吉を見破った〔大滝〕の五郎蔵、鬼平が耳を切り落とした不逞浪人の強請り役など、偶然が重なりすぎるとおもうのは、管理者だけだろうか。
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コメント
管理者さんは偶然が重なりすぎると、思われるそうですが、私は単純なので、シリーズも
巻を重ねて、さすが池波さん、スムーズに話が
進んで、楽しいと思って一気に読んでしまいました。
「日本の伝統的なデザイン展」20年前に,米国
各地で開催されたとか。
一種の生活文化史ですね。非常に興味深いです。当時の図録など 今どこかで閲覧する事
できますか。
投稿: みやこのお豊 | 2005.04.09 08:07
>みやこのお豊さん
「日本の伝統的なデザイン展」の図録はありません。
金鳥蚊取り線香のパッケージとか、足柄山のあかぎれ膏とか、白玉粉の袋とか、そんなものを日通美術のトラックで運んだのです。
いや、おかしなことに熱をあげていた年代でした。
あれ、いまも、そうかな。
投稿: ちゅうすけ | 2005.04.09 10:10