〔岩坂(いわさか)〕の茂太郎
『鬼平犯科帳』文庫巻1に入っている、シリーズ初期の秀作の一つ[老盗の夢]で、あと一トばたらきと願う元大盗〔蓑火(みのひ)〕の喜之助へ、〔前砂(まいすな)〕の捨蔵が紹介した、〔野槌(のづち)〕の弥平の配下だった3人の30男の1人。
(参照: 〔蓑火〕の喜之助の項)
(参照: 〔前砂〕の捨蔵 の項)
(参照: 〔野槌〕の弥平の項 )
年齢・容姿:30男。容姿の記述はないが、緊張すると顔色が青ざめ、眼の光りが異様になる。
生国:上総(かずさ)国天羽郡(あまはこうり)岩坂村(現・千葉県君津市岩坂)
滋賀県甲賀市水口町岩坂も、池波さんのなじみの地だが、江戸に住みなれていることから、君津市を採った。
探索の発端:というより、〔蓑火〕の喜之助を裏切り、〔小房〕の粂八を殺(や)りに鎌倉河岸へ出かける途中に立ち寄った九段先下の一杯飲み屋の屋台で、まず〔印代(いしろ)〕の庄助と〔火前坊(かぜんぼう)〕の権七が喜之助に刺される。
(参照: 〔小房〕の粂八の項)
(参照: 〔印代〕の庄助の項)
(参照: 〔火前坊〕の権七の項)
そのあと、喜之助と茂太郎が相討ち。
結末:相討ちで死ぬ。
つぶやき:本格派の巨盗で、帰り盗めを計画した〔蓑火〕の喜之助が、畳の上臨終が迎えられるはずなのに、大女の色香に迷った果てに、無慙な最後を遂げたのは、本格派の終焉ら暗示している。
と同時に、時代が鬼平の出番をうながしていることも告げている。
悪が強ければ強いほど、相手方・鬼平の強さも際立つ。
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