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2005.10.28

〔小川(おがわ)や〕梅吉

『鬼平犯科帳』文庫巻1の第1話に〔野槌(のづち)〕の弥平の配下として〔小房〕の粂八とともに柳島の妙見堂に登場し、待ち伏せていた火盗改メに粂八は捕縛されるが、梅吉は柳島橋のらんかんを伝って堀左京亮の下屋敷へ消えた。
(参照: 〔野槌〕の弥平の項)
(参照: 〔小房〕の粂八の項)
梅吉は、昌平橋の北詰の加賀っ原はずれの茶漬け屋を表看板としていたが、〔野槌〕一味が一斉に検挙されたときも他出していた逃げおうせた。
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筋違八ッ小路の右下にかすかに昌平橋。その北が加賀っ原
(『江戸名所図会』より 塗り絵師:西尾 忠久)

第2話[本所・桜屋敷]では、鉄三郎(鬼平の家督前の名前)や岸井左馬之助のマドンナで出戻って御家人の後妻になっていたふさと情を通じて、日本橋本町の呉服問屋〔近江屋〕へ押し入る寸前に捕縛された。
(参照: マドンナ・ふさの項

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年齢・容姿:30男。短躯。能面のように無表情な顔。
生国:武蔵(むさし)国江戸・深川
父親は、深川・亀久橋たもとの船宿〔みのや〕の船頭だった。

探索の発端:[唖の十蔵]で逮捕に参加した同心たちの記憶をもとにつくられた梅吉の人相書で、密偵〔豆岩(まめいわ)〕が、本所・南割下水で〔小川や〕とばったり。それであたりに警戒網が敷かれた。
(参照: 〔豆岩〕の岩五郎の項)

結末:捕縛後、磔刑。p84 新装版p89

つぶやき:池波さんの勘違いとおもうが、文庫巻3[むかしの男]p288 新装版p302は、こうなっている。

「霧(なご)の七郎は、あの〔唖の十蔵〕の事件で平蔵に捕えられ処刑された〔小川や梅吉〕の実弟だったのである」

(参照: 〔霧〕の七郎の項)
捕らえられたのは、[本所・桜屋敷]である。

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コメント

ちゅうすけさんのご指摘があるまで気がつきませんでした。

「唖の十蔵」旧版p34に「梅吉は、目の前の堀左京亮下屋敷の塀へ飛びつき、くるりと躯を反転させて邸内に消えてしまった」ついに逃亡してしまったのである。とかかれています。

ここでは処刑されていなかったのに、こんな勘違い誰も気が付かないことってあるのですね。

投稿: みやこのお豊 | 2005.10.28 20:36

いつかも、熱愛倶楽部の集会で話したとおもうのですが、池波さんは原稿のコピーをとっていません(下書きもないのかも)。

それで、原稿を渡してしまうと、校正ゲラがくるまで、記憶だけで次号の原稿を書くわけです。

〔小川や〕梅吉は、[唖の十蔵]では「小男」p31 新装版p33(前篇の[浅草・御厩河岸]の〔豆岩〕は「小男」)、「矮躯(わいく)」p33 新装版p35(以後、池波用語は「短躯」を併用)。

[本所・桜屋敷]では、「小さい体つき」p49 新装版p52(以後、池波用語は「躰」)。

引用のように、そのときの気分でさまざまに変化。

つまり、池波さんは、以前に書いた篇をほとんど見直さないので、自分の記憶に頼っているのかもしれませんね。

投稿: ちゅうすけ | 2005.10.29 00:54

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