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2005.11.04

〔尾君子(びくんし)小僧〕徳太郎

『鬼平犯科帳』文庫巻1の[座頭と猿]で、お頭の〔夜兎(ようさぎ)〕の角右衛門から、〔蛇(くちなわ)〕平十郎(40がらみ)のお盗(つと)めを助(す)けるようにいわれているが、その平十郎一味の引き込み役の座頭・彦の市(50男)の妾・おその(20歳)とできてしまったのが、〔尾君子(びくんし)小僧〕の異名をもつ徳太郎であった。
(参照: 〔夜兎〕の角右衛門の項)
(参照: 〔蛇〕平十郎の項)
(参照: 座頭・彦の市の項)
ふだん、おそのは、新宿・麹屋横丁で彦の市と暮らしているが、病父を見舞うといって北新網の裏長屋へくると、隣家の小間物の行商を装っている徳太郎と逢引きをする。
徳太郎がおそのの裸躰のあちこちにつけた唇の斑点や歯の跡を、目明きの徳の市は嫉妬のまなこで見ては、いつか徳太郎を殺してやろうとおもっている。

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年齢・容姿:25歳。色白。ふっくらとした手。身が軽い。〔尾君子〕は猿の異名。
生国:上総(かずさ)の生まれとのみある。が、父親じこみの軽業らしいから、上総も千葉に近いところと推察。夷隅郡(いすみこうり)深谷村あたりとみておこう。(現・千葉県夷隅郡夷隅町深谷)。

探索の発端と結末:彦の市を殺しに麹屋横丁へ行った徳太郎だが、帰ってきた彦の市のほうが一瞬早く、徳太郎を刺殺してしまう。彦の市はそのまま逐電。奉行所に調べられたおそのだが、徳太郎が〔夜兎〕の一味とは知らない。

つぶやき:座頭をお盗めの一味に加えたのは、池波さんが最初?
子母沢寛随筆集『ふところ手帖』に収められていた短編をテレビ化した座頭市シリーズのほうが先か。
いま、googleで〔座頭市〕を検索すると、まず、北野武さんの映画についての記載がならぶ。ぼくたちは勝新太郎さんの〔座頭市〕の映像が意識にのこっているのだが。
もっと起源をたどると、若山富三郎さんの〔座頭市]もある。このあたりが池波さんにヒントを与えていないだろうか。

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