下女泥(げじょどろ)お仙
『鬼平犯科帳』文庫巻8に所載の[白と黒]に描かれている2人の下女泥のうち、20前後と若いくて抜けるように色白のほうがお仙。
もう1人、歳かさので肌が浅黒いほうがお今が当人。。これが篇名のゆえん。
(参照: 下女泥お今の項)
お仙が下女として奉公に入ったのは、深川・佐賀町の菓子舗〔船橋屋〕。10日目に23両を盗んで消えた。
「舟橋を渡ってきたと杜氏(とうじ)いい」と川柳に詠まれているほどの名菓子舗の〔船橋屋〕である。杜氏は菓子職人。
『江戸買物独案内』(文政7年 1824刊)
年増のお今のほうは、深川・海辺大工町の薬種屋〔長崎屋〕方から38両余を盗んでドロン。
捜査を命じられたのは、〔兎忠〕こと同心・木村忠吾(26歳)である。
年齢・容姿:20歳前後。ぽってりとした顔の色白。いかにも男好きのする豊満な躰つき。
生国:不明。
抜けるような色白というから、越後か会津あたりとおもうが、いちおう不明に分類しておく。
探索の発端:(お今の項から転用)駒込から王子と微行巡回をした帰り、鬼平は亡母の実家、巣鴨村の三沢仙右衛門(53,4歳)宅へ立ち寄り、たまたま来ていた富の市(60近い)に筋肉をもみほぐしてもらった。
夕食を終え、富の市とつれだって感応院・子育稲荷の門前で、鬼平は、{門原〕一味の逮捕のときに取り逃がした軽業゜あがりの〔翻筋斗(もんどり)〕の亀太郎を見かけた。
(参照: 〔翻筋斗〕の亀太郎の項)
(参照: 〔門原〕の重兵衛の項)
亀太郎は富の市のお顧客だったから、亀太郎の家も知れ、見張りがついた。
見張られている亀太郎の家へ、とお仙とお今が入って、3人による性の狂乱が行われていた。
結末:火盗改メが踏みこんでみると、お今とお仙はまっ裸のまま捕縛。亀太郎も裸で逃げ出したところを鬼平に捕まった。
亀太郎の自白によると、27歳にもなっているのに、女のお仙・お今から受けた、初めての性のもてなしだったという。
つぶやき:亀太郎が2人の女から受けた性の饗宴だが、男なら一度は---と願わないでもない。そこのところを察して、小説に仕立てた池波さんもなかなかに食えない。
まあ、現実となると、1昼夜で反吐を履きたくなるほどのものだろうが。
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コメント
江戸アルキ帖
本の宣伝をする気はないが、新潮文庫で発刊の「江戸アルキ帖」は面白い
傑作である。 著者杉浦日向子さんは不幸にして早逝されたが、NHKの
「お江戸でござる」の 解説者として抑揚のない話し方で有名であった.。
本の中に書かれてある文章と絵は本当に江戸時代を実際に目撃された
ような内容である。 相当な能力の持ち主であら れた方とお見受けし、
残念でならない。 税込み820円
勝手にコメントしましたご免なさい。
投稿: edoaruki | 2005.11.05 22:25
原作によると
もんどりの亀太郎は顔で損をして女にもてたことがなく、女から
言い寄られて極楽を経験したらしい。 一度に二人の女を相手
にしたいと考える男はいると思うが本当はどんなものだろうか、
私も想像するだけで今ではそんな気もなくなっ
てしまったが、
やはり気に掛かる。 ある女の人に聞いたら小説家はある程度
は経験し、そして想像しながら書くと聞いたが本当かなと考えます。
投稿: edoaruki | 2005.11.06 07:47
>edoarukiさん
司馬遼太郎さんも、エッセイにしばしば書いておられますが、嘘をほんとらしく書くのが小説家と。
だから、モデルを求めてはいけませんが、edoarukiさんも、若いときなら、タイプの異なる2人の女性に、向こうからかわいがってもらいたいと、おもわないはずはないでしょう。
いざとなると、逃げだすでしょうが。
まあ、池波さんの、読者サーヴィスとおもっておきましょうよ。
投稿: ちゅうすけ | 2005.11.07 10:45