義母・おすえ
『鬼平犯科帳』文庫巻3に収録の[むかしの男]で、西国から下ってきた盗賊団の首領〔霧(なご)〕の七郎(40歳)の義母おすめ。
(参照: 〔霧〕の七郎の項 )
七郎の目的は、実兄〔小川や〕梅吉(寛政8年 1788 に30男? 七郎より5つ年長)を仕置きした鬼平に復讐するためで、浪人・近藤勘四郎(40代半ば)を使って、久栄夫人(41歳)を呼びだしたあと、養女お順をかどわかして、鬼平を心労させることをもくろむ。
(参照: 〔小川や〕梅吉の項)
(参照: 近藤勘四郎の項)
久栄夫人への呼び出し状やお順の連れ去りをやったのが、雑司ヶ谷の鬼子母神境内の茶店〔みょうがや〕の老婆になりすましたおすめである。
年齢・容姿:老婆とのみ。七郎は寛政5年(1793)のこのとき40歳だから、その義母というと、55,6歳前後か。というのも、江戸生まれの七郎(幼名・由太郎)は19歳で初代〔霧〕の七郎の養子になっている。養子に迎えたのは、おすめに子を産む能力がないとみさだめがついた34,5歳をすぎたころだろう。
いや、七郎の5つ年少の女房の母親とみても同様。
土くさい物腰。
生国:西国のどこか。
探索の発端:近藤勘四郎の呼び出しに応じた久栄は、中間の鶴造を変装させて伴っていた。
鶴造は、勘四郎を尾行してその隠れ家をつきとめた。
結末:与力・佐嶋忠介らの働きで、滝野川村の岩屋弁天の近くの隠れ家からお順は救出され、捕縛されたおすめは遠島、勘四郎は磔刑。
つぷやき:かすかな疑問がないでもない。おすめが西国育ちとすると、江戸へ下ってきたばかりで、池袋村あたりの百姓の老婆言葉をどうやっておぼえたのか。しっかり者の鶴造はそれを見破らなかったのか。
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コメント
今日のタイトルは「義母・おすえ」となってますが
私の手持ちのでは、「霧の七郎」の義母の名は、
「おすめ」になっております。
1992年3月15日版第28刷 p288 7行目
投稿: みやこのお豊 | 2005.11.06 19:12