平蔵、親ばか(3)
「ところで、監物が一橋(ひとつばし)につながっていることは、しっておるな?」
大学(浅野長貞 ながさだ 39歳 500石)が顔をよせてささやいた。
「一橋つながり---どういうことだ?」
つられて、平蔵(へいぞう 40歳)も声をひそめた。
監物とは、本丸・徒(かち)の5の組の頭・牧野茂知(しげとも 32歳)である。
その父親・大隈守茂賢(しげかた 73歳 2200石)は、昨年まであしかけ18年間も南町奉行の席にいた。
「監物は養子なのだよ---谷口家の次男---」
「谷口---一橋---あっ!」
【参照】2010315~[一橋家] (1) (2) (3) (4)
43歳で書院番士として召され、5年たらずで辞した谷口内蔵助正熙(まさひろ 500石)のことを、西丸に出仕してすぐに耳にしたことがあった。
将監茂知は内蔵助正熙の次男で、21歳で牧野家の長女の婿養子としてはいった。
舅の大隈守茂賢は61歳であったから、ずいぶん遅いめの手あてといえようか。
〔宇治橋〕名物lの志そめしが配膳された。
いっしょに漬けられ梅の酸味がほどよく滲みこんだ紫蘇(しそ)の葉と実を炊きこんだ、桜色をした飯であった。
「で、監物の人品(じんぴん)はどうなのだ?」
「偉ぶったところはなく、おもて向き、養父は養父、自分は自分とわりきっておった」
(谷口家の全家譜 とくに牧野家とのつながりの)
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