〔滝尻(たきじり)〕の定七
『鬼平犯科帳』文庫巻6に入っている[剣客]に登場。東海道筋・大井川近辺が縄張りの〔野見(のみ)〕の勝平一味で、先発人として、南千住の足袋職人・留吉の甥というふれこみで居ついている。
(参照: 〔野見〕の勝平の項)
年齢・容姿:30がらみ。容姿の記述はない。
生国:三河(みかわ)国額田郡(ぬかたこおり)滝尻村(現・愛知県額田郡額田町滝尻)
磬城国菊多郡滝尻村もあるが、首領の〔野見〕の勝平が豊田の産で、駿河や遠江が縄張りなので、額田町を採った。
探索の発端:女密偵おまさが、老剣客・松尾喜兵衛の弔いの雑事をすませて万年橋をわたりかたとき、(野見)の勝平を助(す)けたときに見知った〔滝尻(たきじり)〕の定七に気づいた。
(参照:女密偵おまさの項)
定七は、深川・清澄町の藍玉問屋〔大坂屋〕の飯炊き男〔殿貝(とのがい)の市兵衛と連絡(つなぎ)をつけに行っていたのである。
(参照: 〔殿貝〕の市兵衛の項)
帰る定七を尾行した彦十が、南千住の留吉の家をつきとめた。
結末:留吉と定七を捕獲した火盗改メは、同心を南千住の家へ張りこませ、訪れる〔野見〕一味をつぎつぎと捕縛していった。
つぶやき:この〔滝尻(たきじり)〕の定七のように、三河の出か磬城の産かと迷ったときは、首領や右腕の出身地が決め手となることが多い。それゆえ、データのファイリングは、一味ごとにくくっておいたほうがいい。
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コメント
盗人の区分けを地縁、血縁、グループ縁に分けて、当ブログのように提示されるとと、
「彼と彼、なるほど、そういう縁でつながっていたのか」
と、関係が素直に理解できます。
というより、盗人の世界も現代社会と変わらず、閨閥、郷土閥、学閥(塾閥)、社閥でつながっている---というより、池波先生の認識がそうなんですね。
投稿: 文くばり丈太 | 2005.04.11 15:53
>文くばり丈太さん
いつも、お励ましのコメント、もったいなく。
盗人を県別にくくっていますが、カテゴリー分けの検索だと、30件以上記事がないとひっかかってこないみたいですね。
がんばって、早く、一つの県だけでもその数にしないと、とあせってはいるのですが、なにせ相手が盗人なので限界がありまして---。
投稿: ちゅうすけ | 2005.04.12 10:54