〔砂井(すない)〕の鶴吉
『鬼平犯科帳』文庫巻7に収録されてタイトルを飾っているヒロイン---[掻掘のおけい]は、ツバメになっている〔砂井(すない))〕の鶴吉の悲鳴まじりの告白によると、じつに、その、存在感たっぷりの女賊であるらしい。女好きの---女が好きでない男はいないのだが---とりわけ好きな、同心・木村忠吾が「抱かれてみたい」とうめくほど。
〔大滝(おおたき)〕の五郎蔵が〔蓑火(みのひ)〕の喜之助の配下だったころ、仲のよかった〔蛙(かわず〕)の市兵衛の一人息子で、少年のころから五郎蔵のの下でこの道の修業していたが、高崎在でのお盗めのときに押し込み先の下女に手をだしたので放逐された。
そのあと、駿河の〔黒坂(くろさか)〕の伝右衛門、〔生駒(いこま)〕の仙右衛門のところでつとめていた。
(参照: 〔掻掘〕のおけいの項)
(参照: 〔大滝〕の五郎蔵の項)
(参照: 〔蓑火〕の喜之助の項)
(参照: 〔黒坂〕の仙右衛門の項)
(参照: 〔生駒〕の仙右衛門の項)
年齢・容姿:25,6か。色白で、下ぶくれの可愛らしい顔だち。
生国:下総(しもうさ)国猿島郡(さしまこうり)上砂井村(現・茨城県古河市上砂井)。
探索の発端: 〔砂井」の鶴吉のほうから〔大滝〕の五郎蔵へ声をかけてきて、この1年、〔掻掘(かいぼり)〕のおけいのくわえこまれて精も根も吸いつくされているから、助けてほしい、と。
それで、おけいに見張りがつき、 おけいが組んでいる〔和尚(おしょう)〕の半平一味の存在もつかめた。
(参照: 〔和尚〕の半平の項)
結末:〔掻掘〕のおけいがたらしこんた日本橋・富沢町の紅・白粉問屋〔玉屋〕茂兵衛方へ押しいろうとした、〔和尚〕の半平一味は射殺と逮捕。鶴吉は逃げようと誘うおけいをふりきって投降。身柄は五郎蔵にお預けの形となった。おけいは半平とともに、市中引き回しの上、死罪。
つぶやき:読者サーヴィスとこころえてはいても、40歳をこえている〔掻掘〕のおけいの量感の描写はすごい。もっとも、いまの日本女性は精神的も躰も若返っており、40歳代は花の盛りともいえるから、おけいの性的アピールには驚かないかもしれない。
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