〔鶉(うずら)〕の福太郎
『『鬼平犯科帳』文庫巻2の所載の[蛇(くちなわ)の眼]で、頭の平十郎配下の1人。味噌こし売りをしているが〔女誑(めたらし)が専門。
(参照: 〔蛇〕の平十郎の項)
この篇では、医師・千葉道有の出身地、下総の大網から下女奉公にあがっているおもとをたちまち口説きおとして、押し入り当夜、戸締りをあけさせる約束をとりつけた。
年齢・容姿:25歳。眼もと涼やかで美男。愛嬌たっぷり。
生国:美濃(みの)国厚見郡(あつみこうり)鶉(うずら)村(現・岐阜県岐阜市北鶉、南鶉、東鶉、西鶉のいずれか)
群馬県邑楽郡邑楽超町にも鶉があるが、大坂生まれの〔蛇〕の平十郎とのつながりや、おもとへ小田原を口にしたところからいうと、西の出身と推理して、岐阜をとった。
探索の発端:〔蛇〕の平十郎の項に記したので、その一部を再録。
鬼平と平十郎が出会ったのは寛政3年(1791)初夏で、本所・源兵衛橋ぎわの蕎麦屋〔さなだや〕において。
視線を交わしあい、鬼平のほうは(油断のならぬ怪しい奴)としかおもわなかったが、平十郎は相手を鬼の平蔵と察知した。
日本橋・高砂町で〔印判師・井口与兵衛〕の看板をあげている平十郎は、浜町堀をはさんで斜向(はすむか)いの道有屋敷の金蔵を狙っていた。
犯行は行われた。全員惨殺。しかし、道栄が瀕死の中、血で「くちなわ」と書き残した。
これより前の事件---文庫巻1に所載の[座頭と猿]で逃げ隠れていた座頭・彦の市が女に会いに現われて逮捕され、〔蛇(くちなわ)〕一味の盗人宿が相州・小田原宿の北の部落・上之尾にあることを白状した。
結末:上之尾へ馬で急行、待ち構えていた鬼平以下の火盗改メに、全員逮捕、死罪。
平十郎だけは過去の残虐な所業もふくめて、市中引き回しのうえ火刑。
つぶやき:この篇での〔蛇〕の平十郎の配下は、軍師格の白玉堂の紋蔵のほかに、
志度呂(しどろ)の金助(35歳) 「うろうろ舟」で盗み金をはこぶ下準備。
片波の伊平次(40歳) 道有屋敷の近所で夜鷹そばの屋台を出し情報収集。
(参照: 〔片波〕の伊平次の項)
駒場の宗六(30歳) 合鍵づくり。
(参照: 〔駒場〕の宗六の項)
鶉(うずら)の福太郎(25歳)前述のとおり
「それぞれの役割が説明された珍しいケースといえる。
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