浪人くずれ・天野大蔵
『鬼平犯科帳』文庫巻2に収録の[蛇の眼]のタイトルでも暗示されている主人公〔蛇(くちなわ)〕の平十郎は10歳すぎだったが、父親の歿後、母親と情をかわしたというので、〔今津屋〕季助ともども、2人を鉈で惨殺、内弟子だった由造(当時37歳)に導かれて大坂の実家を逃げ、諸国を浮浪していた。
(参照: 〔蛇〕の平十郎の項)
その平十郎(少年時代の幼名は与兵衛だが、ここではずっと平十郎でとおす)を拾いあげて、盗みの業(わざ)を仕込んだのが、浪人くずれの天野大蔵である。
いつごろ、平十郎に独立を許したかは書かれていないが、10歳すぎたばかりの少年が、30歳のときには押しも押されぬ金箔つきの大泥棒になっていたというから、22,3歳で1本立ちさせたか、あるいは天野浪人盗賊が病死したのを機に一味を組織したか。
年齢・容姿:どちらも記述されていないが、平十郎を拾いあげて12,3年後には引退か病死していたとすると、平十郎との初対面は40歳をすぎたころか。その年配の男性に、平十郎も印判師だった父親の面影を見たのかも。
生国:不明。平十郎のテリトリーは上方から東のようだから、東海道筋のどこかともおもうが。
探索の発端と結末:p41 新装版p43に、ほんの3,4行ほど顔を見せるだけで、その後のことも記されていない。もちろん、鬼平が火盗改メの任につくはるか以前のことなので、記録もなかろう。
つぶやき:浪人くずれというから、剣術もある程度できたろうし、なにより、用兵に通じており、指揮はたくみであったろう。
それに、平十郎の生来の残虐趣向が加わったのだから、〔蛇〕一味の外道ぶりは容易に想像できるというもの。
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