〔坂田(さかた)〕の金助
『鬼平犯科帳』文庫巻10に収録されている[追跡]で、鬼平が目にとめて追跡した元火盗改メの悪徳目明し---〔藪の内〕の甚五郎が、いま首領として仰いでいるのが、本拠を東海道筋の岡部においている〔坂田(さかた)〕の金助である。
(参照: 〔藪の内〕の甚五郎の項)
3か月前から江戸でのお盗めの先鋒として入府し、早稲田の建勝寺の裏に盗人宿をかまえていた。
年齢・容姿:どちらも記述されていない。
生国:尾張(おわり)国中島郡(なかじまこおり)坂田村(現・愛知県稲沢市坂田町)。
名古屋と江戸の中間ということで、岡部に本拠をおいたのであろう。もっとも、組織は小さいから、それほど大仕事をするわけではない。
探索の発端:甚五郎たち先発組の3人が、たまたま盗人宿を出たところで、気がふれた剣客・下氏九兵衛に斬りつけられて、2人は即死、甚五郎も傷を負い、鬼平に捕縛された。
結末:甚五郎が吐いたので、筆頭与力・佐嶋忠介以下捕り方11名が岡部へ急行し、金助らを逮捕、江戸へ連行した。死罪であろう。
つぶやき:面白くなければ小説じゃあない---が池波さんの持論で、編集者へ原稿を渡すと、その場でよませて「おもしろいか」と聞くのが常であった。
面白いにもいろいろな段階があるが、この篇のように、筋書きに起伏を持たせるために、下氏のように異常な剣客を登場させ、それに甚五郎をからませる---という、破天荒なこともやってのける。
そうやって投げられた変化球に読み手は幻惑され、思惑をはずされてたあいなく池波さんの手中に落ちる。
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