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2008.12.20

ちゅうすけのひとり言(29)

5年つづいている、静岡駅ビル7階のSBS学苑パルシェの[鬼平クラス]の12月の開講日は、7日(日曜日---例月は第1日曜日)であった。

テキストは、文庫巻9[雨引の文五郎]。

例によって、舞台となっている、深川と本所の近江屋板の切りえずのスポットを入れたカラーコピーを配布---というのも、江戸の土地勘をきっちりとつかんだほうが、『鬼平犯科帳』のおもしろ味が増すから。

第1図 小名木川ぞいの秋元但馬守(上野・館林藩 6万石)と隣の松平伊賀守(信濃・上田藩5万3000石)の両下屋敷。この裏手で、〔雨引あまびき)〕の文五郎(ぶんごろう)と〔落針おちばり)〕の彦蔵(ひこぞう)の盗賊同士の対決に、鬼平が行きあう。

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(近江屋板「深川の内」)

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(上図の部分拡大。青ドット=左から高橋、宜雲寺、秋元、松平下屋敷)

宜雲寺は現存(江東区白河2-7-10)。

第2図 文五郎がひそんでいた旅籠〔大黒屋〕と彦造が宿泊していた〔須永屋〕のあった石原町。すぐ裏がおとこの秘図』(新潮文庫)の火盗改メ・徳山(とくのやま)五兵衛の屋敷。経路に馬留橋とあるのは石原橋の誤記。馬留橋は両国橋の北隣。

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(北本所・中之郷・石原辺)

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(青ドット=左上から実在した駒留橋、誤記された石原橋、徳山屋敷)

第3図 〔雨引〕の文五郎が犯行現場跡に残した5寸×7寸の「鬼花菱」の紋と菱をあしらった家紋を80図ほど配布。

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(右上=鬼花菱 花弁の先端が尖っているから鬼?)

ハイライトは、「憎めない盗賊」と「憎たらしい盗賊」の対称。

「憎めない盗賊」(盗賊上がりの密偵もふくむ)で、各人にあげてもらう。

とうぜん、密偵たちはおまさ伊三次五郎蔵粂八彦十などレギュラー全員、あがった。

雨引〕の文五郎のほかには---

〔蓑火(みのひ)〕の喜之助 [1-5 老盗の夢]
〔伊砂(いすが)〕の善八 [3-11 盗法秘伝]
〔瀬戸川(せとがわ)〕の源七 [6-4 狐火]
〔浜崎(はまざき)〕の友五郎(友蔵) [6-5 大川の隠居] 
〔猿皮(さるかわ)〕の小兵衛 [7-3 はさみ撃ち]
〔帯川(おびかわ)〕の源助 [11-3 穴]
〔高萩(たかはぎ)〕の捨五郎 [20-5 高萩の捨五郎]
〔蓮沼(はすぬま)〕の市兵衛 [21-4 討ち入り市兵衛

などがすぐに挙げられた。

女賊がひとりも挙がらなかったのは不思議。

[3-3 艶婦の毒]のお豊(とよ)とか、[4-6 おみね徳次郎]のおみね---など、ちゅうすけは憎からずおもっているけれど。

憎めない盗賊の条件は、3ヶ条をまもることのほかに、愛嬌(あいきょう)がある、とぼけている、いなせ、正義漢、まじめ、すぐれたリーダシップ、技量抜群---など。

もっと、いろいろいるとおもう。あなたの「憎めない盗賊」をコメント欄にあげてください。
みんなで、ああだ、こうだと語りあうのも、歳末の愉しみ。この1年、まじめにやつてきたのですから。たまには轡(くつわ)を外して---。

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コメント

「隗(かい)より始めよ」(『戦国策)といいます(言いだしっぺからやれ)。

男では、
〔尻毛(しりげ)〕の長右衛門 なんとなく好色で、しかもそのことには気が小さいところがかわいらしい。19歳のおすみを情婦にしたら、40すぎの長右衛門は、きっと、このちんころ娘に手玉にとられるでしょう。
巻14[尻毛の長右衛門]
http://onihei.cocolog-nifty.com/edo/2005/05/strongstrong_742e.html

おんなでは、この篇の、
おすみ。
女の武器---それも、母親ゆずりのなかなかの名器らしい---をみごとに遣いこなしているところがたくましい。

投稿: ちゅうすけ | 2008.12.20 07:26

「憎めない盗賊」色々あるようなんですが直ぐに思い出すのは私はなんといっても一番は「艶婦の毒のお豊」それと「掻堀のおけい」情があるので。

男ではやはり「尻毛の長右衛門」滑稽なんですもの。

投稿: みやこのお豊 | 2008.12.21 00:01

>みやこのお豊さん

あの、お豊さん---またの名はおたか(木村忠吾とのとき)。さすがに、みやこのお豊さんらしい。
ところで、忠吾が嫁に迎えた吉田老同心のむすめもおたか---忠吾は京都のおたかを思い出して迎えたか?

投稿: ちゅうすけ | 2008.12.21 09:56

「深川千鳥橋」の間取りの万三が可哀想です。
もう一人、芋酒屋の鷺原の九平もいいキャラですね。

投稿: tomo | 2008.12.22 09:14

>tomo さん
〔間取り〕の万三を介抱するお元もいい性格をしていますね。鬼平が同情して、見逃すのもむりはない。あながち、五郎蔵との盟約を守るだけとは思えません。

〔鷺原(さぎはら)〕の九平は、おっしゃる通り、芋酒とともに記憶に残るキャラですね。この〔鷺原〕って地名---あるファンのリサーチでは、金澤には、鴛原(おしはら)って地名があり、その読み間違いではないかって説もあります。ありえますね。でも、九平どんの好ましいキャラには無関係。

投稿: ちゅうすけ | 2008.12.22 16:07

しばらくぶりに参加させてください。
許せる盗人なら、泥鰌の和助(巻7)もそうだし、巻9の泥亀(スッポン)の七蔵もおかしく悲しいですね。
そうそう、この人を忘れてはいけません---巻8の鹿留の又八さん。小柳さんに申しわけが立ちません。

投稿: chanpoin | 2008.12.23 06:00

>chanpon さん
ほんと、お久しぶりです。
泥亀の七蔵---憎めませんね。お尻をいたわりながら、ガニ股で伊皿子台も町の中村景伯先生のところへ通う姿が目に浮かび、微笑んでしまいます。
池波さんは、痔体操でお治しになつたんですね。作家は座業だから、なるケースも多いんでしょう。
しかし、七蔵は、義理堅い人でもありましたね。

鹿留の又八---この[あきれた奴]は、太宰治[走れ、メロス]を連想させました。

投稿: ちゅうすけ | 2008.12.23 09:16

こうゆう話題なら喜んで参加できます。
巻11の雨隠れの鶴吉。お元がかつての乳母。ちゅうすけさんの鬼平では、お元の間夫が録之助です。

巻18の馴馬の三蔵。女房の敵討ちとゆうのがいいです。

同じ巻18で蛇苺の針ケ谷の宗助。女にだまされて。

男に騙されるのが、風穴の仁助。女房のおひろが魅力的。

投稿: kayo | 2008.12.24 08:57

>kayo さん
{雨隠れ}の鶴吉、お元、井関録之助のからみを、いまこのブログで書いています。よくぞ、揚げてくださいました。

〔馴馬〕の三蔵も、粂八がらみで、肩入れしたいキャラですよね。もうすこし、生かしておきたかった。

風穴の仁助もそうですが、骨がないみたいというおひろ---男として、あこがれますねえ(ないしょ声)。

投稿: ちゅうすけ | 2008.12.25 18:50

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