仕掛人・菅野伊介
『鬼平犯科帳』文庫巻5におさめられている[乞食坊主]で、30俵2人扶持の御家人を父親に、その妾を母にもつ菅野伊介は、正妻にいびlり出されて、結局、高杉道場で習いおぼえた剣の腕を武器に、両国一帯の香具師の元締・〔羽沢(はねざわ)の嘉兵衛の仕掛人となっていた。
(参照: 〔羽沢〕の嘉兵衛の項)
その〔羽沢(はねざわ)〕の嘉兵衛へ殺しを依頼したのは、南品川の貴船明神社(現・荏原神社 品川区北品川3丁目)境内で盗めの会話を、乞食坊主の井関録之助に聞かれてしまった、〔古河(こが)〕の富五郎一味の盗人---〔寝牛(ねうし)〕の鍋蔵(50をこえている)と〔鹿川(しかがわ)〕の惣助(30男)であった。
(参照: 〔古河〕の富五郎の項)
(参照: 〔寝牛〕の鍋蔵の項)
(参照: 〔鹿川〕惣助の項)
年齢・容姿:37,8歳。暗い表情。
生国:武蔵国江戸・本所(現・東京都墨田区本所)。
探索の発端:品川近辺の林で、標的の井関録之助に斬りかかり、逆に組み伏せらて捕らえられ、鬼平の親類の三沢家へ預けられた。
結末:、〔古河〕の富五郎一味は逮捕、菅野伊介は自裁。
つぶやき:シリーズとしてまとまったのは『仕掛人・藤枝梅安』だが、池波さんは早くから、仕掛けの世界に目を向けていた。
この篇は、『梅安』シリーズの登場以前に発表されている。
もっとも、「仕掛け」という用語はまだ創始されていなくて、「殺し」である。
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コメント
菅野伊介は可哀想な男
食うために仕方なくやった殺し、それでも井関
録之助に会ってからはどうしてよいか判らない、
しかし、自分が許されないことは判っていたので
一縷の望みを録之助にかけた。 長谷川平蔵は
録之助の話に、「それは後で考えよう」とはっきり
言わない。 昔の人は非常に繊細な気持の持ち主
が多かったのではないかと考えます。
投稿: edoaruki | 2005.11.28 19:39