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2005.12.30

引き込み女おしげ

『鬼平犯科帳』文庫巻10の巻頭に[犬神の権三]と、タイトルにもなって収まっているひとりばたらきの主人公〔犬神(いぬがみ)〕の権三郎の情婦で、引き込みもつとめるおしげだった。
(参照: 〔犬神〕の権三郎の項)
権三郎が〔雨引(あまびき)〕の文五郎(33歳)と組み、大坂・心斎橋筋の唐物屋〔加賀屋〕に押し入る半年前から、引き込みとして入っていた。
(参照: 〔雨引〕の文五郎の項)
上野・車坂の北、御切手町のはずれの老筆師の二階に、出戻りむすめという触れこみで住んでいる。

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年齢・容姿:30女。お世辞にも美人とはいえない。骨張った躰つき。ぬけるように白い肌。蛇足だが、セックスの要求が強い。
生国:武蔵(むさし)国江戸(東京都)。
ぬけるように白い肌というから、越後か秋田あたりかとも考えたが、美人ではないとあるし、「江戸へ帰る」との表記もある。ま、江戸の水に親しんだ女は、おまさのように肌は白くないのが池波流なのだが。

探索の発端:上野広小路で、おまさとばったり出会った。2人は、〔法楽寺(ほうらくじ)〕の直右衛門一味(初登場時は60がらみ)にいて、友達だった。
(参照: 女密偵おまさの項)
(参照: 〔法楽寺〕の直右衛門の項)
汁粉屋で旧交を温めたのち、おまさが尾行して隠れ家をつきとめ、火盗改メの監視がついた。

結末:大坂の唐物屋〔加賀屋〕を襲ったときの盗め金のうち、300両をごまかした権三郎は、文五郎の仕置きを恐れ、逆に暗殺するべく動いて、火盗改メに捕まった。
権三郎を牢屋破りさせた文五郎は自裁。

つぶやき:この篇も、おまさがおしげと出あったことしから、探索がはじまっている。密偵の中で、もっとも発端の多いのがおまさで13編、次が彦十と伊三次がらみが各4篇、粂八と〔馬蕗(うまぶき)〕の利平治がらみが各3編。
(参照: 伊三次の項)
(参照: 〔小房〕の粂八の項)
(参照: 〔馬蕗〕の利平治の項)


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