〔雪崩(なだれ)〕の清松
『鬼平犯科帳』文庫巻21に収められている[春の淡雪]で、同心・大島勇五郎の配下の密偵でもある〔雪崩(なだれ)〕の清松は、大島同心の博打の借金を清算するとの名目で、〔日野(ひの)〕の銀太郎と組み、盗賊の首領〔池田屋〕五平のひとりむすめ・おうめを拐(わどわか)して強請(ゆす)った。
(参照: 〔日野〕の銀太郎の項)
(参照: 〔池田屋〕五平の項)
年齢・容姿:42歳。小男。やさしげな目。
生国:武蔵(むさし)国江戸・麻布の市兵衛町(現・東京都港区麻布台1丁目)。
俗称「流垂(なだれ)」と呼ばれていた。
雪崩といえば、雪の深い山里ならどこでも起きる。それで今冬、豪雪で孤島化した新潟県の津南町を仮に想定してみたが、『旧高旧領』にはこの村名はなかった。
それで、不本意ながら江戸の市兵衛町とした。
探索の発端:探索の発端:京扇店〔平野屋〕の番頭・茂兵衛は、かつては〔馬伏(jぶせ)〕の茂兵衛といい、〔帯川(おびかわ)〕の源助の右腕だった。引退後、ひょんなことから火盗改メと関係ができた。
(参照: 〔馬伏〕の茂兵衛の項)
(参照: 〔帯川〕の源助の項)
茂兵衛が、〔雪崩(なだれ)〕の清松と〔日野(ひの)〕の銀太郎という流れづとめの盗人を見かけて尾行した。
結末:〔池田屋〕五平の幼娘をかどわかした〔雪崩(なだれ)〕の清松と銀太郎は、1,000両の身代金を要求。引渡しにあらわれたところを鬼平に捕らえられた。その前夜、五平一味16名は捕縛されていたのである。五平にしたがって千両箱を担いでいた小者は、鬼平だった。
つぶやき:そもそもは、大島同心の博打の借金から発している。同心といえども、打つ魅力には勝てない。「こんどこそ、こんどこそ」と泥沼へはまっていくのは、人の心が弱いせいかも。
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コメント
流垂坂
長垂坂
奈太礼坂
なだれ坂
六本木三丁目にある坂の名前ですね。
はっきりした坂の名前の由来はわかりませんが、「なだらかな坂だから」「なだれかかるような坂だから」とか色々諸説があるようです。
幸国坂とも呼ばれ、江戸期には市兵衛坂と呼ばれた時期もあったようです。
盗賊の話ではなく坂の話になってしまいました。もう少し検索をかけてみます。
投稿: 豊島のお幾 | 2006.01.19 09:57
「雪崩」とつく地名
尾瀬 ナデッ窪 「「ナデ」とは雪崩れの意味で、雪崩ッ窪と書く。ナデッ窪は最も古い登山道で急登路だが最も短時間で登降できます」とあった。
いわゆる自然現象の名前ですが、調べていくと地形の名称でもあることがわかりました。
地名として出てきたのは上の尾瀬だけです。
投稿: 豊島のお幾 | 2006.01.19 11:08