密偵・鶴次郎
『鬼平犯科帳』文庫巻20に所載の[怨恨]で、〔磯部(いそべ)〕の万吉(50がらみ)は、弟の敵(かたき)ということにして〔今里(いまざと)〕の源蔵(51,2歳)を殺すことを、浪人くずれの杉井鎌之助(40歳前後)に依頼する。
(参照: 〔磯部〕の万吉の項)
(参照: 〔今里〕の源蔵の項)
(参照: 浪人くずれ・杉井鎌之助の項)
〔磯部〕の万吉が江戸へ現れたというので、火盗改メ方をはじめ、密偵たちが鵜の目鷹の目で隠れ家を捜がしていたのを、密偵・鶴次郎が偶然に見つけた。
一方の源蔵は、江戸へ出てくるときはいつもそうしているように、南八丁堀5丁目の中ノ橋のqmsの煮売り酒屋〔信濃屋〕の喜十(57歳)方に寄宿する(京橋川の中ノ橋は、南八丁堀3丁目と4丁目の境目に架かっている。池波さんが愛用している近江屋板の切絵図が誤植しているのである)。
(参照: 〔桑原〕の喜十の項)
年齢・容姿:文庫巻17「[鬼火]事件で活躍した---とあるだけ。活躍といっても、同篇p293 新装p303 で、関屋村の浪人たちの隠れ家を見張るために鬼平について行っただけのこと。まあ、かつて〔大滝〕の五郎蔵の配下だったことが記述されている。逮捕や密偵となった経緯は説明なし。
(参照: 〔大滝〕の五郎蔵の項)
生国:五郎蔵の生国を決めかねているぐらいだから、地縁の見当もつかない。手がかりとなる「通り名(呼び名)」も付されていない。不明。
探索の発端:もちろん、鶴次郎のでなく、〔磯部〕の万吉の、である。
千住宿の食売旅籠で遊んだ鶴次郎が、南千住へ出たところで万吉を見つけた。かつて五郎蔵一味を助(す)けにきたときに見知ったのである。
結末:こちらは、鶴次郎のほう。この篇に出たきりで、その後は登場していない。
つぶやき:このシリーズの登場する密偵は全部で50名。その中でレギュラー級は彦十、おまさ、〔小房〕の粂八、伊三次、〔大滝〕の五郎蔵、準レギュラーが〔舟形〕の宗平---あとは、4,5篇に顔をみせればいいほうである。
2篇きりの鶴次郎は、端役の範囲である。それでも、五郎蔵の元配下という関係を書くのが池波流。
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