浪人くずれ・杉井鎌之助
『鬼平犯科帳』文庫巻20に所載の[怨恨]で、浪人くずれの杉井鎌之助は、お盗めを助(す)けるかわりにと、〔磯部(いそべ)〕の万吉(50がらみ)から、弟の敵(かたき)ということにして〔今里(いまざと)〕の源蔵(51,2歳)を殺すことを依頼される。
(参照: 〔磯部〕の万吉の項)
(参照: 〔今里〕の源蔵の項)
まあ、殺しは抱いた女の数ほどやってきたし、悪業のかぎりをやりつくしてきた鎌之助にしてみれば、新しい殺人の1つや2つ、どうってものではないから、気やすく請け負った。
杉井鎌之助が目をつけているのは、痔の薬で名高い芝・宇田川町の薬種屋〔小守忠兵衛〕方であった。
年齢・容姿:40前後。総髪。切れ長の細い目、薄い唇。
生国:不明。
探索の発端:千住宿の食売旅籠で遊んだ密偵・鶴次郎が、南千住へ出たところで万吉と杉井鎌之助を見つけた。かつて五郎蔵一味を助(す)けたときに万吉を見知っていたのである。
(参照: 密偵・鶴次郎の項)
(参照: 〔大滝〕の五郎蔵の項)
尾行して、南八丁堀の旅籠〔山重〕へ入るのを突き止めた。
結末:源蔵は巧みに消えた。夜明け前、〔山重〕に火盗改メが踏み込み、鎌之助は鬼平に斬られた。
つぶやき:この篇で池波さんは、悪人同士のつきあい方・会話の妙を開陳してみせる。
杉井鎌之助が、言葉少なに万吉を威圧するのさまが読みどころ。
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コメント
江戸を歩くの人からたどり着きました。
江戸時代の刑について検索の末
辿りついた感じです。
また覗きます。
投稿: あいのツボ | 2006.02.18 02:01
ようこそ。
江戸の刑罰については、『御定書(おさだめかき)百カ条』が、『徳川禁令考 後集第4巻』に抄録されています。
結末は、だいたいそれによっています。
ほかにも、『御仕置例類集』なども参考にしています。
ごいっしょに研究してまいりましょう。
投稿: ちゅうすけ | 2006.02.23 07:13