浪人くずれ・長坂万次郎
『鬼平犯科帳』文庫巻16の冒頭に置かれている[影法師]。話は夏へ遡る。
〔塩井戸(しおいど)〕の捨八(40歳)は、熊谷宿の料理屋〔棚田屋〕を襲い、270余両を奪い、昔なじみの〔井草(いぐさ)〕の為吉(40歳前後か)と彼が連れてきた浪人くずれの長坂万次郎に一味をつけて金を乗せた馬ともども、上州・白石(しろいし)在の村はずれの盗人宿へ先行させた。
(参照: 〔塩井戸〕の捨八の項)
(参照: 〔井草〕の為吉の項)
捨八が隠れ家へ来てみると、長坂浪人と〔さむらい〕松五郎が手下3人を斬り殺し、為吉にも傷をおわせて、馬もろとも逃走していた。もちろん、それは、長坂浪人と為吉が仕組んだ、金を横領するための手のこんだ芝居であった。
長坂浪人は、再び為吉と組んで、捨八が狙っている先での横取りを相談が成立した。
年齢・容姿:年齢の記述はない。総髪。
生国:これも記述がない。不明。
探索の発端:>〔湯屋谷(ゆやだに)〕の富右衛門一味にいた〔蛸坊主(たこぼうず)の五郎は、〔大滝〕の五郎蔵の推薦で密偵となつていた。
(参照: 〔湯屋谷〕の富右衛門の項)
(参照: 〔蛸坊主〕の五郎の項)
(参照: 〔大滝〕の五郎蔵の項)
その五郎が、神田橋門外の茶店で〔井草〕の為吉を見かけたことから、探索の網がはられた。
結末:〔塩井戸〕の捨八、〔井草〕の為吉、それに梅太郎の3人は捕縛されたが、長坂万次郎のことは記述されていない。
つぶやき:結末が記述されていない大物盗賊の代表は、2代目の〔霧(なご)〕の七郎である。文庫巻4の同題の篇で、上方へ逃げ帰らせたまま、池波さんは忘却してしまっている。京都町奉行所の与力・浦部彦太郎が活躍してもよさそうともおもうが。
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