〔相模(さがみ)〕の彦十
岸井左馬之助、〔笹や〕のお熊、〔盗人酒屋〕の忠助、おまさ、高杉銀平師---と、銕三郎(てつさぶろう のちの鬼平)の若かったころの知友を出した。
とうぜん、〔相模(さがみ)〕の彦十(ひこじゅう)爺(と)っつぁんの出番がきた。
とはいえ、銕三郎が20歳前後のころの彦十についての手がかりは、それほど多くはない。
どこまで迫れるか、やってみないとわからない。
とりあえず、手がかりの一つ---彦十が登場している90篇のリストを掲げよう。
『鬼平犯科帳』は、長編の各章を1篇として計算すると、164篇。彦十はうち90篇に顔を見せている。登場率5割3分ちょっと。おまさ、佐嶋忠介、木村忠吾の7割に比すると、いささか少ないが、彦十と肩をならべるのは〔小房(こぶさ)の粂八と伊三次、同心筆頭・酒井祐助ぐらいである。
[1-2 本所・桜屋敷] 天明8年(1788)p65 新p69
[1-8 むかしの女] 寛政2年(1790)p277 新p293
[2-6 お雪の乳房] 寛政4年(1792)p255 新p266
[3-1 麻布ねずみ坂] 寛政4年(1792)p20 新p21
[4-6 おみね徳次郎] 寛政元年(1789)p227 新p238
[4-8 夜鷹殺し] 寛政元年(1789)p278 新p292
[5-1 深川・千鳥橋] 寛政元年(1789)p23 新p24
[5-2 乞食坊主] 寛政元年(1789)p71 新p74
[5-3 女賊] 寛政元年(1789)p99 新p104
[5-4 おしゃべり源八]寛政2年(1790)p143 新p150
[5-5 兇賊] 寛政2年(1790)p204 新p215
[6-3 剣客] 寛政3年(1791)p88 新p96
[6-4 狐火] 寛政3年(1791)p116 新p123
[6-6 盗賊人相書] 寛政3年(1791)p221 新p232
[7-4 掻掘のおけい] 寛政4年(1792)p111 新p116
[7-5 泥鰌の和助始末]寛政4年(1792)p170 新p178
[7-6 寒月六間堀] 寛政5年(1793)p214新p224
[8-3 明神の次郎吉] 寛政5年(1793)p106 新p112
[8-4 流星] 寛政5年(1793)p175 新p166
[8-5 白と黒] 寛政5年(1793)p221 新p233
[9-1 雨引の文五郎] 寛政5年(1793)p12 新p13
[9-2 鯉肝のお里] 寛政5年(1793)p60 新p62
[9-3 泥亀] 寛政5年(1793)p114 新p119
[9-5 浅草・鳥越橋] 寛政6年(1794)p187 新p195
[9-6 白い粉] 寛政6年(1794)p217 新p226
[9-7 狐雨] 寛政6年(1794)p269 新p282
[10-1 犬神の権三] 寛政6年(1794)p18 新p34
[10-2 蛙の長助] 寛政6年(1794)p66 新p70
[10-5 むかしなじみ] 寛政6年(1794)p173 新p182
[10-7 お熊と茂平] 寛政6年(1794)p276 新p290
[11-1 男色一本饂飩]寛政6年(1794)p41 新p42
[11-3 穴] 寛政6年(1794)p123 新p128
[11-5 密告] 寛政6年(1794)p186 新p193
[11-6 毒] 寛政6年(1794)p239 新p250
[12-1 いろおとこ] 寛政7年(1795)p10 新p10
[12-2 高杉道場・三羽烏]寛政7(1795)p53 新p56
[12-3 見張りの見張り]寛政7年(1795)p118 新p125
[12-4 密偵たちの宴] 寛政7年(1795)p158 新p166
[12-5 二つの顔] 寛政7年(1795)p215 新p226
[12-6 白蝮] 寛政7年(1795)p264 新p279
[12-7 二人女房] 寛政7年(1795)p318 新p333
[13-1 熱海みやげの宝物]寛政7(1795)p7 新p8
[13-2 殺しの波紋] 寛政7年(1795)p62 新p65
[13-4 墨つぼの孫八] 寛政8年(1796)p153 新p159
[13-5 春雪] 寛政8年(1796)p209 新p226
[13-6 一本眉] 寛政8年(1796)p244 新p253
[14-1 あごひげ三十両]寛政8年(1796)p19 新p19
[14-2 尻毛の長右衛門]寛政8年(1796)p64 新p66
[14-3 殿さま栄五郎] 寛政8年(1796)p123 新p125
[14-4 浮世の顔] 寛政8年(1796)p162 新p167
[14-5 五月闇] 寛政8年(1796)p206 新p213
[14-6 さむらい松五郎]寛政8年(1796)p249 新p256
[15雲竜剣-2 剣客医者] p89 新p76
[15雲竜剣-3 闇] p130 新p135
[15雲竜剣-7 秋天晴々] p296 新p307
[16-4 火つけ船頭] p182 新p189
[16-5 見張りの糸] p210 新p208
[16-6 霜夜] p284 新p295
[17鬼火-3 旧友] p114 新p118
[17鬼火-5 丹波守下屋敷] p188 新p193
[17鬼火-6 見張りの日々] p252 新p259
[18-2 馴馬の三蔵] p60 新p62
[18-3 蛇苺] p90 新p93
[18-4 一寸の虫] p141 新p133
[19-3 おかね新五郎] p112 新p116
[19-5 雪の果て] p210 新p216
[19-6 引き込み女] p277 新p287
[20-1 おしま金三郎] p29 新p30
[20-5 高萩の捨五郎] p173 新p179
[20-6 助太刀] p224 新p232
[21-2 瓶割り小僧] p51 新p53
[21-4 討ち入り市兵衛] p116 新p119
[21-5 春の淡雪] p197 新p205
[21-6 男の隠れ家] p229 新p237
[22迷路-1 豆甚にいた女] p14 新p14
[22迷路-2 夜鴉] p49 新p46
[22迷路-4 人相書二枚] p109 新p104
[22迷路-5 法妙寺の九十郎] p136 新p130
[22迷路-6 梅雨の毒] p158 新p151
[22迷路-8 托鉢坊主] p226 新p215
[22迷路-9 麻布・暗闇坂] p259 新p246
[22迷路-10 高潮] p281 新p266
[22迷路-11 引鶴] p316 新p300
[23炎の色-1夜鴉の声] p54 新p53
[23炎の-2 囮] p112 新p109
[23-3 荒神のお夏] p163 新p157
[23-4 おまさとお園] p194 新p188
[24-2 ふたり五郎蔵] p54 新p52
[24誘拐-1 相川の虎次郎] p149 新p142
[24誘拐-2 お熊の茶店] p150 新p143
史実の長谷川平蔵宣以は、寛政7年(1795)5月10日に歿しているので、寛政8年から先は年代を省略。
p=ページ。その篇の最初に現われたページ。「新」は新装版のページ。
【参照】[相模(さがみ)〕の彦十] (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12)
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コメント
この登場リストで、登場頻度があがってきたのは、文庫巻5から---つまり、巻4[夜鷹殺し]で自分の意見をはっきり鬼平に伝えてからなんですね。
その意見の出所を手がかりにして、育ちを推察してみます。
数字も、こうなってくると、おもしろくなりそう。
投稿: ちゅうすけ | 2008.05.16 03:14
平蔵が若いときからの知友としての彦十の登場が5割3分とはちょっと意外でした。
それにしても凄いデーターが出来ているのですね!
投稿: みやこのお豊 | 2008.05.16 23:14
>みやこのお豊 さん
『鬼平犯科帳』は感覚的に読んでも絶大に面白いし魅了されるのですが、こうやって、データでおさえていくと、ファンではあっても、別の、もっと深い部分へ達しそうな気がするものですから。
また、そうでなければ、3年も、こんなブログをつづけてられませんよね。
いや、このブログは、多くのファンとともに楽しみながらすすむものですから、データつ゜くしはほどほどにしておかないと。
投稿: ちゅうすけ | 2008.05.20 06:49