Who's Who きょうの提案
きょうの提案
きょうの鬼平熱愛倶楽部の教室でのテキストは
『オール讀物』1968年06月号に発表された第7話[座頭と猿]だった。
話したことの一つが、「7話目(正確には6話目)になっても
依然として鬼平の登場場面が少ない」との指摘。
第2話[本所・桜屋敷]を除くと、あとは鬼平寄りの事件の感
じではない。
与力・同心と密偵、盗賊の話……といってもいいが、データを
みるかぎり、密偵も彦十と、豆岩、粂八ぐらい。
せっかく堀帯刀組から借りてきた佐嶋忠介の活躍場面も、ほと
んどない。
第7話[座頭と猿]までの与力・同心と密偵、盗賊のリスト
◎=与力・同心と密偵 §=盗賊
[唖の十蔵]天明7年(1787)の春から
◎同心:小野十蔵(30歳)p7 新p8
◎同心:竹内孫四郎p32 新p33
§〔野槌(のづち)〕の弥平 仮の姿は料亭〔乳熊屋〕清兵衛
p10 新p10
§下総(しもうさ)無宿の助次郎 弥平の配下p8 新p8
§父:伊助 〔野槌〕の配下p21 新p21
§〔小川(おがわ)や〕梅吉 〔野槌〕の配下。茶漬屋p16
新p16
§粂(くめ) 〔野槌〕の配下。のち〔小房〕の粂八として密
偵にp33 新p34
[本所・桜屋敷]天明8(1788)年小正月
◎与力:佐嶋忠介p49 新p52
◎与力:村松忠之進p80 新p
◎同心:竹内孫四郎p49 新p52
◎同心:酒井祐助 妻君からお順がもらい乳p71 新p76
§ふさ(ふさ) 桜屋敷の孫むすめ(当時18歳)p53 新p56
§〔小川や〕梅吉 〔野槌〕の弥平の配下p49 新p51
§〔小房〕の粂八 〔野槌〕の元配下p49 新p52
§@服部角之進 ふさの夫。御家人p61 新p65
[血頭の丹兵衛]天明8(1788)年10月
◎与力:天野甚造p110 新p115
◎同心:酒井祐助 柳剛流の免許持ちp99 新p104
◎同心:山田市太郎p110 新p
◎同心:竹内孫四郎p110 新p115
◎同心:小柳安五郎p110 新p115
§〔血頭(ちがしら)〕の丹兵衛(60歳)p89 新94
§〔簑火(みのひ)〕の喜之助(66歳)p118 新p124
[老盗の夢]寛政元(1789)年の初夏から暮れ
§〔簔火〕の喜之助 67歳p156 新p165
§〔藤や(ふじや)〕源吉p156 新装p165
§〔伊賀(いが)〕の音五郎 火あぶりの刑p157 新p166
§お千代 〔伊賀〕の音吉郎の女房。のち〔簔火〕の情婦。瓜生 山谷間の墓にp157 新p166
§〔血頭〕の丹兵衛p162 新p172
§〔前砂(まいすな)〕の捨蔵 〔夜兎〕の角右衛門の配下
p170 新p179
§〔蛇(くちなわ)〕の平十郎p172 新p181
§〔野槌〕の弥平p172 新p181
§〔印代(いしろ)〕の庄助 30男。〔野槌〕の配下p173
新p183
§〔火前坊(かぜんぼう)〕権七 30男。元〔野槌〕の配下
p173 新p183
§〔岩坂(いわさか)〕の茂太郎 30男。元〔野槌〕の配下
p173 新p183
§貸座敷〔玉や〕の亭主・弥六 元〔野槌〕の配下p180
新p188
§〔小川や〕梅吉p173 新p183
§座頭:彦の市(ひこのいち) 麹屋横丁p174 新p184
[暗剣白梅香]寛政2(1790)年初春
◎与力:天野甚造p209 新p218
◎同心:酒井祐助p206 新p218
§@金子(かねこ)半四郎 仮住まいは駒込村。38歳p193
新p204
§〔三の松〕平十(へいじゅう) 根津権現門前の盛り場をた
ばねるp195 新p206
§〔蛇(くちなわ)〕の平十郎p201 新p212
§〔亀穴(かめあな)〕の政五郎 〔蛇〕一味の軍師p201
新p212
§〔丸太(まるた)橋〕の与平次 深川の顔役p207 新p219
§〔白子(しらこ)〕の菊右衛門 大坂堺筋通り北久宝寺町の
顔役p209 新p221
[座頭と猿]寛政2(1790)年梅雨のあがった夏
◎同心:酒井祐助 p252 新p266
◎町廻同心:渡辺寅之助 p251 新p265
§〔簔火〕の喜之助 67歳p224 新p237
§〔蛇〕の平十郎p225 新p238
§小間物行商の徳太郎 25歳。〔尾君子(びくんし)小僧〕の
異名も。〔夜兎()〕の角右衛門元配下p230 新p243
§唐物屋〔白玉(はくぎょく)堂〕紋蔵 麻布飯倉 3丁目p225 新p238
§〔野槌〕の弥平p228 新p241
§〔前砂〕の捨蔵 〔夜兎〕の配下。p233 新p247
§座頭:彦の市 四谷麹屋横丁。〔蛇〕の配下p222 新p235
§〔夜兎〕の角右衛門 p240 新p247
§〔五十海(いかるみ)〕の権平p242 新p256
こうしてリストにして眺めると、池波さんは当初、『鬼平犯科
帳』を、長谷川平蔵の物語としてではなく、白浪(しらなみ
盗賊)ものとして連載するつもりだった……といいうることも
できそうだ。
毎日1篇ずつアップしている各篇の項目データを、このように
使い、ご自分だけの『鬼平犯科帳』論を組み立てるのも一興。
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コメント
「鬼平」熱愛倶楽部の教室での講義の一端、ありがとうございます。
勤務の関係で聴講できないのが、残念でたまりません。
こうしてデータを拝見すると、いままで気づきもしなかった『鬼平犯科帳』の隠れた実像が、まざまざと現れてきます。
まったく新しい鬼平論、池波小説論が講じられているのですね。熱愛倶楽部のみなさんが、ますますうらやましい。
投稿: 文くばり丈太 | 2006.08.29 10:10
>文くばり丈太さん
いつも、うれしくなるようなコメント、ありがとうございます。
孤独な鬼平研究であり、実のある反応の少ないブログをつづけているので、文くばりさんのような読み手からのコメントがあると、ほんと、勇気づけられます。
これからも、お気づきのこと、コメントいただきますよう。
教室での講義の一端は、なるたけ、公開するようにつとめます。
投稿: ちゅうすけ | 2006.08.29 11:38
最近、見つけたサイトで楽しんでます。
慶応大学のサイトなんですが、
http://www.humi.keio.ac.jp/treasures/jp_map/mita/html/top.html
この切絵図を見ながら、三田の辺りを見廻るのが楽しいです。
聖坂で『凄い奴』を見かけたり、品川宿を微行したり。
全ての切絵図が、こんな風にインタラクティヴに見れたら楽しい。
投稿: ぴーせん | 2006.08.30 00:12
>ぴーせんさん
ご教示、ありがとうございました。
さっそく、拝見にうかがいました。
尾張屋板は、さすが、プロの版元、色が鮮やかです。
また、白石先生の解説もみごと。
ただ、池波さんがいつも重宝していたのは、近江屋板なので、
引用は、近江屋板---と心がけています。
それに、あるとき、目をこらして尾張屋板を見ていたら、目の奥が痛くなりました。
淡彩な近江屋板だと、そういう障害がおきません。
それはそうと、どちらも、同じ誤植をいくつかやっているのは、どういう経緯からでしょうね。
投稿: ちゅうすけ | 2006.08.30 16:42