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2011.02.01

平蔵の土竜(もぐら)叩き(8)

「まずは、これをご覧ください」
同心・吉田藤七(とうしち 40歳)は、懐から紙片をだし、ひらいた。
「15歳から、お仕えしたお組頭の方々です」

先手・弓の2組のお頭(1500石格)

朝倉仁左衛門景増(かげます 300俵)
 任  宝暦4年(1754)5月28日(52歳 西丸小納戸頭ヨリ) 
        5年(1755)8月15日火盗改メ
 転     6年(1756)11月3日(54歳 駿府町奉行)

小笠原兵庫信用(のぶもち 2600石)
 任  宝暦6年(1756)11月3日(51歳 使番ヨリ)
     同日 火盗改メ
 免  宝暦7年(1757)4月23日
 転  宝暦8年(1758)12月7日(53歳 堺奉行)

平塚伊賀守為政(ためまさ 300石)
 任  宝暦8年(1758)12月7日(35歳 小納戸頭ヨリ)
 辞  宝暦13年(1763)3月11日(40歳)

奥田山城守忠祗(ただまさ 300俵)
 任  宝暦13年(1763)3月15日(63歳 小納戸頭ヨリ)
 転  安永2年(1773)1月4日(73歳 持頭)

赤井安芸守忠晶ただあきら 1400石)
 任  安永2年(1773)1月11日(37歳 小十人ヨリ)
     同年 火盗改メ
 転  安永3年(1774)3月20日(38歳 京都町奉行)

菅沼藤十郎定亨(さだゆき 2025石)
 任  安永3年(1774)う3月20日(45歳 西丸目付ヨリ)
     同日 火盗改メ
     安永5年(1776)12月12日(47歳 奈良奉行)

土屋帯刀守直(もりなお 1000石)
 任  安永5年(1776)12月12日(43歳 使番ヨリ)
 替  同年12月14日 長谷川太郎右衛門正直と組替え
     (同  火盗改メ)

長谷川太郎右衛門正直(まさなお 1450石)
 替  安永5年(1776)12月14日 土屋帯刀守直と組替え
 転  安永7年(1778)2月24日(69歳 持頭)
 
贄 越前守元寿(もととし 300石)
 任  安永7年(1778)2月28日(38歳 小姓組ヨリ)
     同 8年(1779)1月15日 火盗改メ

「25年のあいだに、9人のお頭がお替わりになりました」
「先手の組頭は、番方(ばんかた 武官)の爺(じじィ)の捨てどころ---といわれておるが、弓の第2組は出世街道の第一の駅のようですな」

「それは、手前にはかかわりのないことです。実は---」
吉田同心は、もう1枚の紙片をだした。

牢番

文治(ぶんじ 26歳) 
生地 甲斐国八代郡(やしろこおり)小石和(こいさわ)村 
小作人・分蔵(ぶんぞう)の5男
安永2年(1773)4月、17歳のとき、甲府勤番頭・八木丹後守補道(みつみち 盈道とも 54歳 4000石)どの用人某の添え状があったので小者として雇った。 
そのときのお組頭は赤井安芸守どの。

悦三(えつぞう 35歳)
生地 羽j前国最上郡(もがみこおり)本堀内村
田持ち・喜右衛門(きえもん)の妾腹の子。
明和元年(1764)4月、18歳のとき、新庄藩(6万8000余石)の江戸屋敷の用人・瀬川氏の推挙状ををたずさえていたので、雇用。
そのときのお組頭は奥田山城守どの。
陰日なたの区別のない働き者とだれからも評判がよい。


(八木丹後()どのは遠い縁者であるから、後日、訊けばいい。ちょうど、無沙汰を謝るのに格好の口実ができた)

参照】2010年5月15日[鎗奉行・八木丹波守補道(みつみち)] () (

平蔵は、悦三の羽j前国最上郡堀内村にひっかかるものを感じた。
吉田どの。最上郡の堀内村というのは---?」
「手前もしかとは存じませぬが、悦三が洩らしたところでは、船形(ふながた)山とか申す険阻な山の裾の村とか---」
「船形山---?」
「なんでも、そのような---」

(〔舟形ふながた)〕の宗平(そうへえ)つながりということもありうるな---)

「かたじけのうござった」

参照】2011年1月25日~[平蔵の土竜(もぐら)叩き] () () () () () () () () ()  (10) (11) (12) (13

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コメント

お見逃しください---なんて、とんでもありません。毎日、教えられ、『鬼平犯科帳』の深さに魅いられています。
これからも、しっかり楽しませていただきます。

投稿: tomo | 2011.02.01 06:20

>tomo さん
久しぶりに、アッといっていただけそうな解決アイデアが湧きました。神がおりた感じ。
2,3日後をお楽しみに。

投稿: ちゅうすけ | 2011.02.01 17:26

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