ちゅうすけのひとり言(60)
『鬼平犯科帳』の巻23のほとんどの紙数をあてられている[炎の色]の年代を、寛政年間(1857~1800)の何時にとるかは、むずかしい選択である。
小説なんだから、きびしいことはいうまい---という意見も、もっともだし、ちゅうすけも、そうしたいとはおもっている。
主人公の長谷川平蔵宣以(のぶため)は、実在していた男である。
略歴を簡潔に記すと、
延享3年(1746) 生まれ。
安永2年(1773) 28歳 遺跡相続。
4年(1775) 30歳 西丸・書院番4の組出仕。
進物の役に選抜。
天明4年(1784) 39歳 徒の組頭(1000石格)
6年(1786) 41歳 先手・弓の2番手組頭(1500格)
7年(1787) 42歳 火盗改メ助役。
8年(1788) 43歳 火盗改メ本役。
寛政2年(1790) 45歳 人足寄場創設、同取扱兼任。
4年(1792) 47歳 人足寄場取扱解任。
7年(1795) 50歳 卒(6月10日)
したがって、[炎の色]の年代は、寛政6年以前でなければなるまい。
ところが、巻1[唖の十蔵]からそれぞれの話の内容を確かめながら年代を割りふっていくと、巻13[熱海みやげの宝物]あたりで平蔵は卒していることになる。
で、ファンとしては、[熱海みやげの宝物]以後は、年代と年齢を自分なりに想定して読みつづけるわけである。
[炎の色]の年代想定だが、おまさは〔大滝(おおたき)〕の五郎蔵(ごろぞう)と夫婦として暮らしている。
〔舟形(ふながた)〕の宗平(そうへい)は80に近いというから、77,8歳か?
〔荒神(こうじん)〕の助太郎(すけたろう)は、13年前に病死。
【参照】2007年7月14日~[〔荒神(こうじん)の助太郎] (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
2008年6月8日~[明和3年(1766)の銕三郎] (2) (3)
2008年10月28日[うさぎ人(にん)・小浪] (6)
2009年1月4日[明和6年(1769)の銕三郎] (4)
2009年18日~[銕三郎、三たびの駿府] (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13)
2009年1月21日~[銕三郎、掛川で] (1) (2) (3)
2009年9月13日~[同心・加賀美千蔵] (1) (2) (3) (4) (5) (6)
2010年2月24日~[日光への旅] (1) (2)
2010年2月26日゜[とけい草]
その隠し子のお夏(なつ)は、25歳。
未完の巻24[誘拐]を平蔵の生前の寛政6年(1774)の事件と仮定すると、〔荒神〕の助太郎が歿したのは天明元年(1781)という勘定になり、お夏は12歳(明和7年(1770)の生まれ)。
巻24で、おまさが誘拐されたのを寛政5年とすると、助太郎が亡じたのは安永9年(1780)で、お夏の誕生も1年くりあがる。
年代にこだわっているのは、平蔵の青・壮年時代とのかかわりをどう扱うかによるからである。
どうも、計算を誤ってきたふしがある。
なぜ計算ミスをしたかは、おもいだせない。
とにかく、このブログでの舞台はいま、安永5年(1776)で進行させている。
助太郎の年齢はともかく、お夏は7歳か8歳というところ。
母親・お賀茂(かも)は36,7歳あたりか。
[炎の色]には、お夏の母親のことは書かれていないが、母親なしで子は生まれない。
助太郎が没したときのお賀茂は41歳前後として、12,3歳の少女に異相の性癖を伝えたのは、後家となったお賀茂か。
池波さんは、どういう母親像を描いていたか?
さらにいうと、おまさが〔荒神〕の助太郎の求めに応じて仕事をしたのは何時ごろであろう。
助太郎の死の3年前あたりだと〔炎の色〕から16年前で、おまさ20歳ごろとなり、また勘定があわなくなってしまう。
【参照】[おまさの年譜]
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コメント
そういえば、史実の長谷川平蔵が亡くなったは、寛政7年でしたね。物語のほうは、その後もどんどんすすんだ。
『炎の色』は没後ずいぶん先の話だから、人物の年齢推定に混乱する、とおっしゃるちゅうすけさんの困惑、よくわかります。
でも、お話なんですから、面白ければいいと割り切ってお進めください。期待しています。
投稿: 文くばり丈太 | 2010.07.07 06:12
>文くばり丈太 さん
いつも変わらぬ暖かいおはげまし、ありがとうございます。
もう、高齢なので、いつ止めようかとおもいつつ、5年もつづけてきてしまいました。
いま、平蔵は31歳---49歳ごろの事件として描かれいる文庫巻24[誘拐]までは17年ほどあります。
まあ、聖典『鬼平犯科帳』の年齢時期8年間は聖典にまかせても、平蔵32歳から41歳までの9年間が残っています。前途遼遠です。
ご支援、おつづけくださいますよう。
投稿: ちゅうすけ | 2010.07.07 07:25