平蔵、これまでの盗賊体験
「考えの手がかりだけでもいただければ---」
高遠(たかとう 専九郎 46歳)筆頭与力に頭をさげられては、平蔵(へいぞう 31歳)としても、思案しないわけにはいかない。
さいわい、西丸・書院番4の組に出仕しても、さしたる用務があるわけではなかった。
これまでに出会った盗賊や事件をおもいだし、検討をしていても、頭の中のことだから、だれはばかることなくできた。
人生で最初に出会った盗賊は、そのときは趣味の絵師とおもっていたが、その後、ずっと気になる男女になった。
(あれは宝暦9年(1759)、おれが14歳、お芙佐(ふさ 25歳=当時)に男にしてもらった年であった)
銕三郎は、老中を罷免されて隠居中の本多伯耆守忠珍(ただよし 50歳)のために、[駿河・田中城をしのぶ集(つど)い]の史歴の下しらべに、東海道をのぼっていた。
【参照】2007年7月15日~[〔荒神(こうじん)〕の助太郎] (1) (2)
これをあいだに挿入しないと、話しがつながらないので---、
2007年7月17日[仮(かりそめ)の母・お芙沙(ふさ)]
2007年7月15日~[〔荒神(こうじん)〕の助太郎] (3) (4)
それから4年後の宝暦13年(1763)、銕三郎は18歳であった。
2人目の養女・与詩(よし 6歳)を受けとるために駿府へ旅する途中の小田原で助太郎に再会した。
箱根では、雲助の頭〔風速(かざはや)〕の権七(ごんしち 31歳)と里帰りの人妻・阿記(あき 21歳)と知り合い、助太郎につながった。
これも、前段を復元してかからないとも話がつうじまい。
【参照】2007年12月29日~[与詩(よし)を迎えに] (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15)
銕三郎の人品に惚れた権七が、〔荒神〕の助太郎の仕事らしいことを告げた。
2008年1月25日~[〔荒神(こうじん)〕の助太郎] ( (5) (6) (7)
阿記が銕三郎の子・於嘉根(かね 3歳)を縁切寺で産んでいたことを知った、銕三郎の母・妙(たえ 42歳)はあわただしく箱根へ旅立った。
このことを長谷川家へもたらしたのは、〔荒神〕の助太郎とその連れを山抜けさせて関所破りの罪を着せられ、江戸へ逃げてきた権七とお須賀(すが 29歳)であった。
銕三郎は、権七を大伯父で火盗改メのお頭をしていた太郎兵衛正直(まさなお 59歳 1450石)へ引きあわせ、盗賊逮捕を手伝うことで山抜けの罪を免じてもらった。
2008年3月27日~[〔荒神〕の助太郎] (8) (9) (10)
この一連の経緯から銕三郎は、助太郎の奇妙な性癖をしった。
まさに性癖---男女の交合のふしぎである。
ところが、ひょんな筋立てから、銕三郎(24歳)は、おんな男の立役のお竜(りょう 30歳)に初めておんな
の躰の奥の喜びを教えてしまった(このことは、〔蓑火(みのひ)〕の喜之助(きのすけ)や〔狐火(きつねび)〕の勇五郎(ゆうごろう)ところでも再録するがとりあえず、ざっと。
【参照】2009年1月1日~[明和6年の銕三郎] (1) (2) (3) (4) (5)
明和6年、駿府と掛川で、盗難事件がおき、火盗改メ・長山讃岐守直幡(なおはた 58歳の要請)で、銕三郎が出張った。
【参照】2009年1月8日~[銕三郎、三たびの駿府] (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13)
2009年1月21日~[銕三郎、掛川で] (1) (2) (3)
明和9年(1772)、江戸庶民が「迷惑(メイワ9)な年にならなければ」と願っていたが、江戸の半分近くが焼ける大火となり、火盗改メ・本役であった父・宣以(のぶため 54歳)が放火犯人を挙げた。
その功績で京都西町奉行に栄転、その赴任に先行するかたちで、銕三郎(27歳)は京へ。
そして奉行所の加賀美同心とともに、荒神口の〔荒神屋〕へ踏みこんが、あっさり逃げられてしまった。
2009年9月13日~[同心・加賀美千蔵] (1) (2) (3) (4) (5)
消息を絶っていた〔荒神〕の助太郎を、日光へ竹節(ちくせつ)人参の教えを乞いにいった太作(たさく)が見かけた。
なぜ、こんなに〔荒神〕の助五郎とお賀茂(かも)にこだわっているかというと、17,8年後、おまさ(36歳)が助五郎の遺児・お夏に誘拐されたらしい(文庫巻24[誘拐]未完)から、その救出までをこのブログの使命としていねからである。
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コメント
お盆休みに復習ということですね。
盗賊が副主役の物語ですものね。
投稿: tomo | 2010.08.12 09:55
荒神の助太郎総集編です。
いよいよ、お夏登場かな。
投稿: tsuko | 2010.08.12 10:01
>tomo さん
いつもコメント、ありがとうございます。
励みになります。
〔荒神〕の助太郎は、銕三郎が14歳の脱皮の直前に会った盗人です。
そして、おまつ救出で、最後に会うのがそのむすめのお夏です。
最初で最後というのも、なにかの因縁でしょうか。
投稿: ちゅうすけ | 2010.08.12 10:46
>tsuko さん
〔荒神〕一派は、このブログの底流のようなものです。
おまさ救出まで、蔭になり、日向へ出---しながらつづきます。
〔荒神〕もですが、聖典に登場る幾人かは、平蔵が火盗改メに任じられるまでのこのあとの12年間に片鱗をみせることになるでしょう。
投稿: ちゅうすけ | 2010.08.12 12:22
聖典とブログのバランスがたいへんだとお察ししております。
それにしても、平蔵さんの20代、30代が彷彿です。
投稿: mine | 2010.08.12 14:18