旅籠の番頭・梅次郎
『鬼平犯科帳』文庫巻5に収められている[おしゃべり源八]でで、畜生ばたらきが専門の〔天神谷(てんじんだに)〕の喜佐松一味で、駿府の仏具店〔今津(いまづ)屋〕の主人・佐太郎を保証人として、2年前から平塚の旅籠〔米屋〕の番頭に入り込んでいたのが梅次郎である。
(参照: 〔天神谷〕の喜佐松の項)
(参照: 〔今津屋〕佐太郎の項)
同心・久保田源八から〔小房〕の粂八あての手紙をことずかった藤沢の茶店〔とみや〕の亭主・仁助には、かならず粂八へ渡すといいながら、その晩から姿を消していた。
(参照: 〔小房〕の粂八の項)
年齢・容姿:「若いに似ず気もつく---」とあるから、30代前半か。まじめそう。
生国:不明。地縁でいうと、〔今津屋〕佐太郎は近江、〔天神谷〕の喜佐松は越中だが、単に梅次郎とだけしか書かれていないので、どちらともきめがたい。しいていえば、保証人(請け人)となった佐太郎には近江弁があったろうから、近江説をとりたいが。
探索の発端:藤沢の茶店〔とみや〕の亭主・仁助の証言に、手紙は受け取っていないと粂八がいったことから、佐太郎が妖しいということになり、探索がはじまった。しかし、駿府の佐太郎も消えていた。
結末:〔天神谷〕の喜佐松の本拠である川崎宿の小さな旅籠〔大崎屋〕へ、火盗改メが打ち込んで捕らえた一味7名の中に、佐太郎老人がいたかどうかは書かれていない。
つぶやき:梅次郎の〔米屋〕での役目は何だったのであろうか。川崎と駿府との単なる連絡(つなぎ)の中つぎか。それにしても、2年ものあいだ、さしたる役目を果たしていたようにもおもえないのだが。
というのは、〔天神谷〕一味は、駿府でもお盗めをしていないし、江戸でもやっていない。
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